香港MBA留学後記

留学、その後

誰も教えてくれないビットコインへの純粋な疑問

もちろんこれまでも「ビットコインがここまで上がった」とか「日本の法規制がとうとう仮想通貨を認めた」とか、何だか景気のいい話は耳に入ってきていたのだけど、ここ1~2週間で立て続けに身の回りでもビットコインの話が聞こえてきた。

 

「ビットコインの会社を作り、大手と提携しました」

とか

「友達の彼氏がビットコインの会社を作ったんだって」

とか、そういう話である。

 

以前Fintechについてまとめて勉強した時に、ブロックチェーンについては多少の知識を得たのだけど、ビットコインについてはずっとシンプルな疑問を持っていた。それは、

 

「価格がこれほど乱高下するものが果たして決済手段として普及するのか?」

 

ということだ(そもそも「ビットコインの会社」って何だ?みたいなこともあるのだけど)。そうはいっても他にやりたいことが山ほどあるので放っておいたのだけど、あまりに世の中が盛り上がりすぎていて、今後数年で何か大きな動きがあるように思ったので、自分なりの考えと疑問を一度整理しておくことにした。

 金融での勤務経験があるとはいってもプライマリーマーケットで数年過ごしただけなので、決済関連やその他経済全般には素人同然であるということ、及び一部憶測や仮説も含んでいる点はご理解頂き、理解に誤りがある点などあれば是非ご指摘頂ければと思う。自分はただ、「本当のことが知りたい」だけである。

 なおビットコインを支えている技術であるブロックチェーンに関しては、自分は元より肯定的である。

 

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TOEFL100点を超え米イディオムを勉強すべきかの話

要約:色んな英語力の人達に難度高めのAmerican idiomのサンプルを見てもらい、どのぐらい知っているかを調べてみた

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モゴモゴバスターという英語リスニングの教材があって、アフィリエイトでもあれば全力で売り込みたいぐらい素晴らしい教材なんだけど、その作者の方から新作のイディオム教材の案内が来たので購入を真剣に検討した。

TOEFL100点以上程度のレベルであれば、相手が非英語ネイティヴである限りはどんなに英語ができる人と会話していても知らない単語に出くわすことはあまりない(The Economist等の文章内で知らない単語がないとは言っていない。むしろこの程度のレベルでは知らない単語ばかりだろう)。

ところがコーポレートファイナンスでグループを組んでいる米人Pの英語聞き取りには、めちゃめちゃ苦労している。体感理解度50%ぐらい。米人でも教授はゆっくり明瞭に話してくれるのでほぼ完全に理解できるのだが、北京から一緒のこのPは常に全く容赦がない。お前な、多国籍チームではネイティヴ側もちょっとは気を使うべきなんじゃねーのかとも思うのだが、日本人を除く他の非ネイティヴは普通に理解できているようなのでやはり自分がなんとかするしかないのが現実。

そこでここしばらく、なぜPの英語が(特に)聞き取れないのかを冷静に考えていたのだが、スピードは実はそこまで速くないので、米特有の発音変化が一つでこれはモゴモゴバスターで対策可能として、もう一つはイディオムじゃないか・・・?と思うに至っていた。イディオムはその名の通り慣用表現であり、構成している単語自体は平易なものが多いので、発音変化もえぐく、聞き取りに明らかに支障をきたす。

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とある授業について

ほとんどの授業が全8回で構成されているうち、とりあえず第3回が終わりつつあって、今のところ一番のお気に入りはManaging Organizationという授業。意思決定に際しての認知の歪みをどう自覚すべきか、リーダーシップのあり方とは、といったことについて、豊富な例え話や問いかけ・エクササイズなどによって理解を深めていく内容で、教授の話のうまさもあり素晴らしい授業だと思っていたのだが、クラスメイトの何人かから否定的な評価を聞いた。

 

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とある休憩時間中の雑談の中でこの授業に関する意見を求められたので、「一番気に入ってる授業だよ」と返したところ、

 

「あの授業は、楽しいだけ。実践的じゃない」

「当たり前のことしか言っていない」

 

というような言葉が返ってきたので、驚いた。いくらか反論しようとしたのだが、「そうだそうだ、楽しいだけだ」と何人かで畳みかけるように話が盛り上がり、休憩時間も残り少なかったのでじっくりと自分の意見を言うことができなかったのだが、その時に感じた違和感がどうも残っている。

 

要は、何を「実践的」と捉えるかの違いなのだと思う。これは、キャリアのどの段階にいるかどうかにもよるのだと思われるが、彼らがファイナンスや会計はいかにもすぐに使えそうなので実践的だと言っているだとすれば、それはせっかく大金をはたいているプログラムから得られるものを自ら縮めてしまっているのではと改めて思った。

 

そもそも、MBAの授業で学ぶ専門知識自体は、プロフェッショナルの現場で使うにはあまりにも浅い。例えば投資銀行にはビジネス知識を持たない学生も新卒で毎年多く入るが、彼らが入社後1年間でOJTも通じてゼロから学ぶファイナンスその他の知識は、MBAでファイナンスの授業を多めにとったぐらいの学生は遥かに凌駕するレベルにある。

 

ではMBAの授業は意味がないかというとそういうことではなく、(会計の授業はどうしても知識の伝授という側面が強くなりがちなのだが)例えばファイナンスの授業では、公式的な結論に至るまでの考え方、直観的な理解、現実世界への応用などについて、「これはどう考えるべきか?なぜそう考えるか?でもこういう考え方をすると君の考えは否定されるけど、他の考え方をする人はいるか?でもその考え方もこの点ではおかしいよね、結局どう考えるべきか?」という議論の中で展開されていくことで、結論の暗記に留まらない考え方そのものを身につけていくことにこそ価値があると思っている。

 

その点、個人的にはむしろリーダーシップ・国際経営のようなソフトなテーマの方がMBAのプログラムには馴染むと思っており、自分の努力も集中的に投下したいところ。

 

「答えがない」ことに文句を言う人もいる。しかし、「作業」を与えられる駆け出しの社会人からマネジメントに近くなるにつれ、扱うべき問題にはどんどん目に見えた答えがなくなっていく。とりわけ、様々なバックグラウンドや国籍の人が集うプログラムであるからこそ、答えの選択肢の幅が広くなる傾向にある。なので、「そうはいっても答えがある(ことが多い)」テーマよりも、価値観・人間力学の見方を戦わせるような体験を重視したいと考えている。

 

少し残念に思う気持ちがあったのは事実なのだが、人はどうあれ、自分は一つ一つのケースにおける悩みに深く共感することで、様々な境遇で答えの無さと向き合う気持ち悪さ・ストレスを感じる経験を大事にしていきたい。

学ぶべきことの取捨選択

まだ秋学期前半が始まって二週間だけど、色々気をつけなければ学習機会を損ねかねないなと危機感を抱いている。それなりの考えがあってコア科目を全て受講することにしたわけなのだが、会計やファイナンスはやはり内容がかなり基礎的である上に、期待していたほどグループワークが求められておらず、ちょっと肩透かしをくらっている感がある。ワークロード自体は重いのだけど、最も重きを置いているグループでの議論はそこまで白熱する前に収拾がついてしまう感じ。悪い癖として完璧主義者なところがあるので、宿題が提供されたりなどするとどうしても仕上げるために時間を費やしすぎてしまう傾向があるのだが、普通に学校が提供するプログラムに乗っかっているだけでは自分の目標は達成されないな、と危機感を新たにした次第。

 

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MBA留学に何を求めるかは人によって全く違う。キャリアチェンジのための学位取得という人もいるし、本当に経営の基礎を学びたい人もいる。そもそも33歳になってから留学に来ており、卒業後の進路も一応確保されている自分の目標は、相対的に若い人が多い同級生達とは特に異なるところが多いので、自分で意識的にデザイン・実行していかなくてはいけない。

 

留学当初に立てている5つの目標のうち、最も大事なものを「アジアリーダーシップに必要な素養と語学の習得 」としている。これは英語の自分なりの完成・中国語中級の習得を前提としつつ、アジア諸国の経済・歴史・文化への理解を深めることと、異文化でのリーダーシップ発揮経験を積むという、やや振りかぶった目標としてしまっているのだが、基礎的な内容の授業が多い今だからこそ、これを如何に進めていくか?をもっと真剣に考えていく必要がありそう。

 

課外での学習は随時進めていくとして、同級生との会話の機会ももっと大事にしていくべきなのだが、何となくの日常会話や宿題の話をして慣れ合っているだけでは何も深まっていかないと思い始めた。 もっと個別の国毎に何らかのテーマを設定して、問題意識をぶつけて見解を引き出していくような対話をしないと意味がない。

 

ということでネタを探し始めたのだけど、選択科目のStrategic Alliance in Chinaで副読本にもなっている以下などはなかなか面白そう。

Managing the Dragon: How I'm Building a Billion-Dollar Business in China

Managing the Dragon: How I'm Building a Billion-Dollar Business in China

 

 恐らくまだ日本では本が出てないと思われるのだが、著者のJack Perkowski氏はYaleをCum Laude、HBSをBaker Scholarで卒業したのち、20年の投資銀行経験を経て中国でビジネスを始め大成功を収めた人で、Mr. Chinaと呼ばれている人である。西洋社会では相当な中国通として知られているようだ。Amazonの紹介文に書かれている本書のインサイトの一部をちょっと見ただけでも、

中国に関するgood news:何でも可能なこと

中国に関するbad news:簡単なことは何もないこと

とか、興味をそそる感じ。

 

まあこれでも何でもいいと思うのだけど、とにかく「深い」「対話」が出来ていないことが問題なので、ちょっと関心領域での問題意識を深めて、ひたすらぶつけるというトライをしばらく続けてみようか。

深圳勉強会に参加して

昨夜は香港和僑会が主催した、東京大学の伊藤亜聖准教授による「第142回定例会「イノベーション都市としての深圳~新世代ベンチャー企業とエコシステム~」という勉強会に参加してきた。

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深圳で何が起こっているか

伊藤先生のオリジナリティを侵害しない範囲で、自分用の簡単な記述に留めておきたい。

中国の大トレンド

  1. 高度化
  2. 調整
  3. 拡張

上記1の実現という文脈の中での深圳の位置づけと、1と3を掛け合わせを推進するための軸としての深圳

イノベーションを支えるエコシステム

  1. 成熟したサプライチェーン
  2. オープン・モジュール化した産業構造
  3. 上記にマーケティングとクリエイティビティを付加する仕組み

上記の結果、一日に200社を超える企業が創業

深圳の弱みと課題

  1. ソフトウェアとコンテンツの弱さ
  2. 不動産価格の高騰(若年人材の吸引力低下)
  3. 国の関与が深化する可能性

思ったこと

レガシーをどう打ち破るか

先日、長く製造業の経験をお持ちの方のお話を頂戴する機会があったのだが、その方は開口一番に「深圳で作っているものなんて、オモチャですよ」と仰っていた。

 

伊藤先生が述べておられた事例の一つに、深圳のレストランではレストランの席につくとQRコードをスマホで読み取り注文、決済もスマホで完了するという購買行動が既に実現しているというものがあり、これは20代・30代が人口の60%以上を占めている社会構造も一助になっているだろうとのことである。例えば日本で同じことをやった日には、「現金支払いも可にしろ」「情報弱者を置き去りにするな」と騒がれる可能性すらあるだろう。中国では、例のポイント制による就労ビザ要件の厳格化の件でも、高齢者ほど付与するポイントが低く設計されるなど、国の発展のために若年層を優遇する思想が明確に出ており、これだけ少子化が叫ばれている中で保育園の設置に真顔で反対している高齢者が我が物顔で権利を主張するような日本とは基本的に真逆の考え方である。人口ピラミッドを明確に反映しているという点ではなるほど民主化が実現できているといった点も、こうした構造を打ち崩しがたい背景となってしまっている。

 

もっとも、伊藤先生のお話を踏まえれば、中国全体が常に破壊的イノベーションを進めまくっているというわけでもなく、あくまで深圳には上海・北京のようなレガシーが存在していなかったということも発展の重要な要素の一つのようである(つまり、破壊する対象がなかった)。

課題を直視する心

我々が圧倒的に認識しなくてはならないのは、これまで日本が強みを発揮してきた「品質」「洗練」といった側面でも、中国企業は確実に力をつけつつあるということである。

 

伊藤先生のお話の中でも紹介があったのだが、深圳発のドローントップシェア企業DJIの最新製品Phantom 4のプロモーション動画を見て、どのようなことを思うか。

www.youtube.com

 

ローランド・ベルガーの遠藤会長が長江商学院で教鞭を取っておられた際、中国のマネージャー達が自ら「品質面で劣る中国製品」を強烈に認識した上で、その改善へのヒントを探るべく日本企業の「現場力」を必死で学ぼうと食らいついてくる熱気を感じたそうである。いつか品質面で追いつかれたとしても、それでも日本に残る優位性とは何か?という点も、伊藤先生のお話の中にヒントがあったように思う。それを真摯に追うことを目指すとすれば、まず過去の栄光にすがらず、今の課題を直視する心を持つことがスタンスとして必要であるはずだ。仮に深圳で作っているものが自分の会社の製品に比べて「オモチャ」だと感じたとしても、である。 

DJIとの取引に稟議を通せない日本企業

伊藤先生曰く、これだけ深圳にポテンシャルがあっても、深圳のベンチャーとの取引を忌避する日本企業は多いのだそうで、既にドローンで世界市場を席捲しているDJIのような企業相手でも、これは一般的な傾向であるそうだ。

 

「深圳がすごいらしいから行ってこい」というトップの意向で深圳に赴き、ビジネスチャンスを発掘してもいまいち日本本社には温度感が伝わらず、結果陽の目を見ないという流れが容易に想像できる。そこに来ると、したたかなシリコンバレーは深圳にベットしまくっている。

 

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引き続き、中国への理解を深めていきたい。

自分のリーダーシップスタイル

 少し前のことになるのだけど、本格的に授業が始まる前のImmersion programで、PDP(Professional Dynamic Programs)というリーダーシップスタイルを診断するワークショップがあった。

 

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ここでは、各学生が持つリーダーシップスタイルが5つの型に分類される。HKUSTのMBAプログラムでは随分長いこと新入生に対してやっているらしく、アラムナイに会った時にもこの話で盛り上がるらしい。

 

自分は当初あまり重視していなかったのだけど、いまだに授業の中でも結構メンションされたりする中で、自分が生来持っているリーダーシップスタイルはどのようなものなのか?を意識的に把握することは重要なことだと思うようになってきた。 

 PDPにおけるリーダーシップの分類

各人は以下の5つのいずれかに分類される(川崎さんのブログから拝借)。

  • 権力型のTiger(虎)
  • ミキサー型のPeacock(孔雀)
  • 我慢と平和型のKoala(コアラ)
  • 正確・緻密を求めるOwl(フクロウ)
  • 変幻自在のCameleon(カメレオン)

毎回敬愛する川崎さんのブログに触れずにはいられないのだが、事前に彼がPeacockであること、かつ以下のように述べておられることを知っていたので、ショボい話、自分もPeacockだったらいいなあと密かに思っていた。

想像通りの結果となった。
コンサルタントに向いている人/経営に向いている人は個人的には孔雀だと思っているので、
今回の結果に対しては満足。

この日のワークショップでは、個々人の結果を発表する前にまず各スタイルの説明があった上で、大部屋に貼られた新入生全員の顔写真つきの大判のシートに、各スタイルに対応した五色のシールを予想・評価として相互に貼りあうことを求められた。 

クラスメイトにどのように見られているか

まだ知り合って一ヶ月弱ほどの面子ながら、濃密な時間を過ごしているので、全員とはいかないまでも各人のシートには数十人からのシールが貼られていくことになる。

 

面白いもので、割と勝気な同級生にはやはりTigerのシールが貼られ、協調性の高い人気者にはPeacockのシールが貼られていく。何色のシールであるにせよ、クラスの中で目立つ学生は既にキャラが知られわたっているせいか何がしかのシールが集まっていった。MBAAという生徒会のような組織のPresidentに既に立候補している人望溢れるCには、さすがにPeacockのシールが溜まっていった。

 

まあ落ち着けと。自分もPeacockシールがたくさん貼られているといいな。そう思っていた僕は、いざ自分のシートの前に行き驚愕した。まず、何だかシールが少ない。そして色の統一感もバラバラで、あえていうならOwlが多い。Peacockシールは1枚か2枚。全然協調性豊かな人気者リーダーとみなされていない。そして実は、枚数が少ないことの方がショックだった。まだ自分に評価を下せるほど話した人が少ないということ。そして、評価してくれた人のシールもバラバラなので、全く自分のキャラが伝わっていないということだ。

 

始まるまでは想定していなかったことだが、実はこの方式の場合、沢山シールを集めている人や、印象的な色の貼られ具合をしている人が全員の前で明らかになる(別にシールの数自体はワークショップの趣旨ではない)。自分は、こんなにシールが少ない自分のシートを皆に見られたくないな、とこれまたショボい、そして実に自分らしいことを考えていた。

 

心底しょんぼりしながら自分の席に戻ろうとすると、北京から一緒の日本人K君のシートが目に入った。なんだかとても、ピーコックの色が多い。そしてシールの枚数も自分の1.5倍ぐらいありそうだった。実際K君はいつの間にか、ジャパンクラブのCEOにもなるなど、人望系路線を歩み始めていた。

 

もうだめだ、せめて正式な評価で自分がPeacockであることを知りたい。衆人の面前で自分の正当なPeacock性を明らかにするしかない。憔悴しきった頭でそう考えていた。 

自分の結果

配布された正式な評価シートには、自分がどのスタイルに該当するかは明確に記載されておらず、以下のチャートから読み取ることが求められた。

 

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最左の5つの要素のどれが高いかで、リーダーシップスタイルが判定されるという説明がなされた。

  • Dominanceが高い⇒Tiger
  • Extroversionが高い⇒Peacock
  • Peace/ Patienceが高い⇒Koala
  • Conformityが高い⇒Owl
  • 全部が同じぐらい⇒Cameleon

なんと、自分はTigerであった。Tigerというのは、激しく自己中心的・厚い報酬を求めるゴリゴリ系のリーダーで、まあ皆あまりなりたくない。「あいつTigerっぽくね?」というのは薄ら笑いを浮かべながら口にされるべき表現だ。なお、自己主張強めのMBA生の中でも、今年Tigerに該当するのは約10%であるとのこと。

 

そうこうするうちに、全Tigerの名前が前面のプロジェクターいっぱいに表示され、Tiger達は厳粛に起立することを求められた。「さあ皆さん、これがこの学年のTigerです」とDeanが言い、みんな「Oh...」という反応。僕はもはややぶれかぶれになっていたが、周りを見渡すとやっぱりお前もTigerか、という面々が並んでいた。

 

自分がTigerだというのはそれなりに意外感があったらしく、周囲の何人かには「お前Tigerだったのか!」と言われた。もっとも、一緒にグループワークを経験しているメンバーは「驚きはない、納得」とのことであったので、とうとう観念して現実を受け入れるに至った。

 

思うところ

このチャートの左側部分の解釈は上で述べた通り「本来の自分のリーダーシップスタイル」を表すのだけど、真ん中のチャートは「職場環境において発揮されているリーダーシップスタイル」を表す。ここではDominanceが下がり、Extroversionが大いに上昇、結果的に自分はPeocockになっている。

 

こんなことも踏まえつつ、いくつか思うところを。

  • 職場環境におけるリーダーシップスタイルがTigerからPeacockに変化しているように、自分の生来の型はどうあれ、多少変化させることは可能。実際、マイケル・D・ワトキンスのSTARSモデルにあるように、むしろ企業の状況に応じてリーダーシップスタイルを使い分けることも求められると理解
  • まあ自分は確かにTigerである。一方で、それをうまく使い分けることもできる。但し、自分の特性が最も活かせるのはTigerが求められる状況であること、及びそうでない場合にその他のスタイルを選択するとしても、自分のTiger性を意識した上で行動すべきことを知っておくことには意味がある
  • シールの枚数が少なかったことは厳粛に受け止めるべき。日本人相手でも少数の親密な友人を作りがちなほうだが、留学を機会にこうした人見知りをなくしたいと考えていた。それが全く実践できていない
  • シールの色に統一感がなかったことも、まだまだ存在感が示せていないということだと認識すべき。まだ、Tigerと思われて赤色のシール一面に貼られる方がよい
  • これからの留学生活の中で、リーダーシップを発揮する機会は多く 訪れると思うが、こうした客観的な評価を意識しつつ行動・反省を繰り返すと、得られるフィードバックも多いのではないか

おまけ

  • 仲のいいインド人AもTigerだったのだが、「これは仕事中のストレスフルな状況で回答したからこんなことになったんだ」と弁明していた。やはり皆Tigerになりたくない(というか、Tigerだと思われたくない)のだろう。一方、日本人のO君とM君も同じくTigerで、日本人のTiger率が密かに高いことも判明したのであった
  • 実はこのチャートには「ロジカルか/直観的か」の指標も載っていて、ロジカル値が高い学生はDeanから「Future management consultant!」などと囃されたりもしたのだが、現役マネジメントコンサルタントの自分はこの値がめちゃめちゃ低くて笑った。でも確かに、ロジックは常に大前提として存在すべきとの認識の下、自分は圧倒的に直観性を意識的に重視している

秋学期(前半)の授業が始まる

6月に日本を出発して以来、北京留学⇒香港到着⇒生活セットアップ⇒Immersion programと怒涛の勢いで日々が過ぎていったので、随分プログラムも進んだかのように錯覚していたのだけど、実は今週からようやく授業が始まる。とはいえ、日々が過ぎるのが本当にあっという間なので、うかうかしているとあっという間に終わってしまうのは間違いなく、もっと気を引き締めて取り組んでいきたい。

 

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さて、秋学期Fall1の授業は以下の通り。

【Core Courses】

  • Managerial Microeconomics
  • Management of Organizations
  • Data Analysis
  • Corporate Finance
  • Financial Accounting Foundations

【Electives】

  • Managing Strategic Alliances in China(1 Credit)
  • The Art of War and Eastern Wisdom in Business Competition(1 Credit)

コア科目に関しては、大学の専攻が商学部で、かつ統計・データサイエンスに特化したゼミに所属していたので、Management of Organizations以外は10年以上前とはいえ体系的に学んだ経験がある。学部での履修履歴を示した上で所定の試験にパスすれば履修免除となるのだが、如何せん英語での議論環境に慣れていないので、ある程度内容が理解できている授業から入るのがよいだろうと、一つも免除申請していない。前にも書いたが、経営の基礎知識を得るという事自体に自分のMBAの目的をセットしておらず、グループワークを通じて得るものこそが自分の留学の狙いなので、コア科目にもある程度真面目に取り組んでいきたい。

 

Fall1は2 Credit分だけ選択科目の履修が可能なのだが、これは相当に悩んだ。履修にあたって所定の科目の履修が前提(Prerequisite)となっているものもあるし、コア科目の時間帯と重複して開講されるものもあるので現実的に履修可能なものは多少絞られるのだが、今回履修を決めたもの以外に興味を惹かれたものには以下など。

  • Investment Analysis:大学時代にファイナンスはかなり力を入れて勉強していたし、曲がりなりにも数年間はinvestment bankerだったわけなのだが、流通市場の現実には疎いということもあり、理論⇒現実へのapplyを繰り返すという授業のアプローチに惹かれた。但しあくまで今の自分の専門性に沿っていないということと、他の側面からの学習も可能と考え履修を断念
  • Politics and Socioeconomic Environment of China:過去の中国の歴史・政治・経済をひたすら振り返るという授業。中国にアホみたいにハマってる今の自分には魅力的な授業なのだが、2 Creditの授業なので、これを取るとこれだけでFall 1の選択科目は終わってしまう。近現代史の"お勉強"なら自学も可能と判断し最終的には履修を断念

来年の秋学期にはExchangeで他の大学に行っている可能性が高いので、秋学期にしか開講されない授業は事実上今回が最初で最後のチャンスとなる。コア科目のスケジュールと照らし合わせながら、受験時のエッセイで散々考えたWhy MBA?の問いを思い出しつつ、最終的には以下それぞれの考えで履修決定した。

Managing Strategic Alliances in China

これまでお手伝いしてきた日本企業のクライアントの中国進出においても、中国企業とパートナリングすべき/しなくてはならないというケースは沢山あった。もちろん、ローカライズや現地マネジメントといった観点から他の国でもパートナリングは常に積極的に検討すべき施策なのだが、中国では業種によってそもそもJVが前提になることもある。一方で、ご案内の通り中国企業と交渉事を行うというのは簡単なことではないので、パートナリングの失敗が即ち中国事業の失敗となっている例も多い。というわけで以前から興味が強いテーマだったので、履修を決定した(もっとも、川崎さんのブログで彼もこの時期に履修していた授業だったということが一番の理由だったりするのだけど笑)。

 

The Art of War and Eastern Wisdom in Business Competition

The Art of Warとは、孫子の兵法の英語訳である。即ちこの授業名を日本語に訳すと、「競争における孫子の兵法と東洋の知恵」とでもなるだろうか。自分はそもそもこのトリッキーなタイトルにめちゃくちゃ心惹かれてしまうタイプの人間なのだが、更にこのクラスはMBAオフィスがマーケティング志向の学生に履修を「Must have」レベルで推奨している授業であり、かつ教授はEMBAでBest of Class/ Professorを受賞している方である(HKUST/KelloggのEMBAは何度も世界No1の評価を獲得している優良なコース)。

 

迷わず履修を決めるべきところなのだが、一昨年に履修したインドネシア人学生とふと話すことがあり評判を聞いたところ、「期待と全く違っていて、後悔している」と聞いたことから少し迷った。もっとも理由を聞いてみると「孫子の話が聞きたかったのに、Taoism(道教)の話だったよ」というのが彼の不満点のようで、よくシラバスを読むと最初からそもそも孫子にはそこまでフォーカスしておらず、あくまでEastern Wisdom推しの授業のよう。であれば自分としてはマイナスポイントでもないため、少し不安ながら履修を決意した。

 

今回の選択科目は、いずれも負荷としては重くないものを選んだつもりである。人生の休息も自分にとっては大事なMBAの目的。また、4月病にかかりやすいきらいがあるので、序盤はあえて抑えめにスタートすることとしたい。

 

もっとも、初回の授業が肌に合わなかった場合には即座に判断すれば履修を変えることができるわけなのだが、さて吉と出るか凶とでるか・・・?