香港MBA留学後記

留学、その後

MBAでは習わないデータ分析

来週マーケティングのクラスでチームに分かれてのディベートが予定されているのでケースを読んでいたのだけど、ふとある分析を思い立って少し手を動かしてみたら、いくつか大きな問題はあるものの、クラスで発表する分には十分に面白いのではと思える結果が手に入った。

 

コンサルタントの世界から離れて生活するようになって、コンサルタントならではの物事の考え方や表現の仕方の良いところ・悪いところを感じるようになっているのだが、今回20分程度でこの分析を完成させられたのは、明らかに良いところではないかと思えたので、自分の勘を鈍らせないためにも記録しておこうと思う。

  

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Fall 2開始

あっという間にFall1が終わってしまった。授業の振り返りなども、成績が出揃ったところでまとめておきたいと思う。

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さて、Fall 2は以下の授業に登録している。

  • Global Macro Economics
  • Marketing Strategy and Policy
  • Data Analysis
  • Operation Management
  • (選択)China's External Relationships and Their Economic Impact ※前半のみ
  • (選択)Asian Invisible Giants, Japan and Korea ※後半のみ
  • (選択)Mandarin Level 3
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誰も教えてくれないビットコインへの純粋な疑問

もちろんこれまでも「ビットコインがここまで上がった」とか「日本の法規制がとうとう仮想通貨を認めた」とか、何だか景気のいい話は耳に入ってきていたのだけど、ここ1~2週間で立て続けに身の回りでもビットコインの話が聞こえてきた。

 

「ビットコインの会社を作り、大手と提携しました」

とか

「友達の彼氏がビットコインの会社を作ったんだって」

とか、そういう話である。

 

以前Fintechについてまとめて勉強した時に、ブロックチェーンについては多少の知識を得たのだけど、ビットコインについてはずっとシンプルな疑問を持っていた。それは、

 

「価格がこれほど乱高下するものが果たして決済手段として普及するのか?」

 

ということだ(そもそも「ビットコインの会社」って何だ?みたいなこともあるのだけど)。そうはいっても他にやりたいことが山ほどあるので放っておいたのだけど、あまりに世の中が盛り上がりすぎていて、今後数年で何か大きな動きがあるように思ったので、自分なりの考えと疑問を一度整理しておくことにした。

 金融での勤務経験があるとはいってもプライマリーマーケットで数年過ごしただけなので、決済関連やその他経済全般には素人同然であるということ、及び一部憶測や仮説も含んでいる点はご理解頂き、理解に誤りがある点などあれば是非ご指摘頂ければと思う。自分はただ、「本当のことが知りたい」だけである。

 なおビットコインを支えている技術であるブロックチェーンに関しては、自分は元より肯定的である。

 

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TOEFL100点を超え米イディオムを勉強すべきかの話

要約:色んな英語力の人達に難度高めのAmerican idiomのサンプルを見てもらい、どのぐらい知っているかを調べてみた

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モゴモゴバスターという英語リスニングの教材があって、アフィリエイトでもあれば全力で売り込みたいぐらい素晴らしい教材なんだけど、その作者の方から新作のイディオム教材の案内が来たので購入を真剣に検討した。

TOEFL100点以上程度のレベルであれば、相手が非英語ネイティヴである限りはどんなに英語ができる人と会話していても知らない単語に出くわすことはあまりない(The Economist等の文章内で知らない単語がないとは言っていない。むしろこの程度のレベルでは知らない単語ばかりだろう)。

ところがコーポレートファイナンスでグループを組んでいる米人Pの英語聞き取りには、めちゃめちゃ苦労している。体感理解度50%ぐらい。米人でも教授はゆっくり明瞭に話してくれるのでほぼ完全に理解できるのだが、北京から一緒のこのPは常に全く容赦がない。お前な、多国籍チームではネイティヴ側もちょっとは気を使うべきなんじゃねーのかとも思うのだが、日本人を除く他の非ネイティヴは普通に理解できているようなのでやはり自分がなんとかするしかないのが現実。

そこでここしばらく、なぜPの英語が(特に)聞き取れないのかを冷静に考えていたのだが、スピードは実はそこまで速くないので、米特有の発音変化が一つでこれはモゴモゴバスターで対策可能として、もう一つはイディオムじゃないか・・・?と思うに至っていた。イディオムはその名の通り慣用表現であり、構成している単語自体は平易なものが多いので、発音変化もえぐく、聞き取りに明らかに支障をきたす。

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とある授業について

ほとんどの授業が全8回で構成されているうち、とりあえず第3回が終わりつつあって、今のところ一番のお気に入りはManaging Organizationという授業。意思決定に際しての認知の歪みをどう自覚すべきか、リーダーシップのあり方とは、といったことについて、豊富な例え話や問いかけ・エクササイズなどによって理解を深めていく内容で、教授の話のうまさもあり素晴らしい授業だと思っていたのだが、クラスメイトの何人かから否定的な評価を聞いた。

 

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とある休憩時間中の雑談の中でこの授業に関する意見を求められたので、「一番気に入ってる授業だよ」と返したところ、

 

「あの授業は、楽しいだけ。実践的じゃない」

「当たり前のことしか言っていない」

 

というような言葉が返ってきたので、驚いた。いくらか反論しようとしたのだが、「そうだそうだ、楽しいだけだ」と何人かで畳みかけるように話が盛り上がり、休憩時間も残り少なかったのでじっくりと自分の意見を言うことができなかったのだが、その時に感じた違和感がどうも残っている。

 

要は、何を「実践的」と捉えるかの違いなのだと思う。これは、キャリアのどの段階にいるかどうかにもよるのだと思われるが、彼らがファイナンスや会計はいかにもすぐに使えそうなので実践的だと言っているだとすれば、それはせっかく大金をはたいているプログラムから得られるものを自ら縮めてしまっているのではと改めて思った。

 

そもそも、MBAの授業で学ぶ専門知識自体は、プロフェッショナルの現場で使うにはあまりにも浅い。例えば投資銀行にはビジネス知識を持たない学生も新卒で毎年多く入るが、彼らが入社後1年間でOJTも通じてゼロから学ぶファイナンスその他の知識は、MBAでファイナンスの授業を多めにとったぐらいの学生は遥かに凌駕するレベルにある。

 

ではMBAの授業は意味がないかというとそういうことではなく、(会計の授業はどうしても知識の伝授という側面が強くなりがちなのだが)例えばファイナンスの授業では、公式的な結論に至るまでの考え方、直観的な理解、現実世界への応用などについて、「これはどう考えるべきか?なぜそう考えるか?でもこういう考え方をすると君の考えは否定されるけど、他の考え方をする人はいるか?でもその考え方もこの点ではおかしいよね、結局どう考えるべきか?」という議論の中で展開されていくことで、結論の暗記に留まらない考え方そのものを身につけていくことにこそ価値があると思っている。

 

その点、個人的にはむしろリーダーシップ・国際経営のようなソフトなテーマの方がMBAのプログラムには馴染むと思っており、自分の努力も集中的に投下したいところ。

 

「答えがない」ことに文句を言う人もいる。しかし、「作業」を与えられる駆け出しの社会人からマネジメントに近くなるにつれ、扱うべき問題にはどんどん目に見えた答えがなくなっていく。とりわけ、様々なバックグラウンドや国籍の人が集うプログラムであるからこそ、答えの選択肢の幅が広くなる傾向にある。なので、「そうはいっても答えがある(ことが多い)」テーマよりも、価値観・人間力学の見方を戦わせるような体験を重視したいと考えている。

 

少し残念に思う気持ちがあったのは事実なのだが、人はどうあれ、自分は一つ一つのケースにおける悩みに深く共感することで、様々な境遇で答えの無さと向き合う気持ち悪さ・ストレスを感じる経験を大事にしていきたい。

学ぶべきことの取捨選択

まだ秋学期前半が始まって二週間だけど、色々気をつけなければ学習機会を損ねかねないなと危機感を抱いている。それなりの考えがあってコア科目を全て受講することにしたわけなのだが、会計やファイナンスはやはり内容がかなり基礎的である上に、期待していたほどグループワークが求められておらず、ちょっと肩透かしをくらっている感がある。ワークロード自体は重いのだけど、最も重きを置いているグループでの議論はそこまで白熱する前に収拾がついてしまう感じ。悪い癖として完璧主義者なところがあるので、宿題が提供されたりなどするとどうしても仕上げるために時間を費やしすぎてしまう傾向があるのだが、普通に学校が提供するプログラムに乗っかっているだけでは自分の目標は達成されないな、と危機感を新たにした次第。

 

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MBA留学に何を求めるかは人によって全く違う。キャリアチェンジのための学位取得という人もいるし、本当に経営の基礎を学びたい人もいる。そもそも33歳になってから留学に来ており、卒業後の進路も一応確保されている自分の目標は、相対的に若い人が多い同級生達とは特に異なるところが多いので、自分で意識的にデザイン・実行していかなくてはいけない。

 

留学当初に立てている5つの目標のうち、最も大事なものを「アジアリーダーシップに必要な素養と語学の習得 」としている。これは英語の自分なりの完成・中国語中級の習得を前提としつつ、アジア諸国の経済・歴史・文化への理解を深めることと、異文化でのリーダーシップ発揮経験を積むという、やや振りかぶった目標としてしまっているのだが、基礎的な内容の授業が多い今だからこそ、これを如何に進めていくか?をもっと真剣に考えていく必要がありそう。

 

課外での学習は随時進めていくとして、同級生との会話の機会ももっと大事にしていくべきなのだが、何となくの日常会話や宿題の話をして慣れ合っているだけでは何も深まっていかないと思い始めた。 もっと個別の国毎に何らかのテーマを設定して、問題意識をぶつけて見解を引き出していくような対話をしないと意味がない。

 

ということでネタを探し始めたのだけど、選択科目のStrategic Alliance in Chinaで副読本にもなっている以下などはなかなか面白そう。

Managing the Dragon: How I'm Building a Billion-Dollar Business in China

Managing the Dragon: How I'm Building a Billion-Dollar Business in China

 

 恐らくまだ日本では本が出てないと思われるのだが、著者のJack Perkowski氏はYaleをCum Laude、HBSをBaker Scholarで卒業したのち、20年の投資銀行経験を経て中国でビジネスを始め大成功を収めた人で、Mr. Chinaと呼ばれている人である。西洋社会では相当な中国通として知られているようだ。Amazonの紹介文に書かれている本書のインサイトの一部をちょっと見ただけでも、

中国に関するgood news:何でも可能なこと

中国に関するbad news:簡単なことは何もないこと

とか、興味をそそる感じ。

 

まあこれでも何でもいいと思うのだけど、とにかく「深い」「対話」が出来ていないことが問題なので、ちょっと関心領域での問題意識を深めて、ひたすらぶつけるというトライをしばらく続けてみようか。