香港MBA留学後記

留学、その後

自分のリーダーシップスタイル

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 少し前のことになるのだけど、本格的に授業が始まる前のImmersion programで、PDP(Professional Dynamic Programs)というリーダーシップスタイルを診断するワークショップがあった。

 

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ここでは、各学生が持つリーダーシップスタイルが5つの型に分類される。HKUSTのMBAプログラムでは随分長いこと新入生に対してやっているらしく、アラムナイに会った時にもこの話で盛り上がるらしい。

 

自分は当初あまり重視していなかったのだけど、いまだに授業の中でも結構メンションされたりする中で、自分が生来持っているリーダーシップスタイルはどのようなものなのか?を意識的に把握することは重要なことだと思うようになってきた。 

 PDPにおけるリーダーシップの分類

各人は以下の5つのいずれかに分類される(川崎さんのブログから拝借)。

  • 権力型のTiger(虎)
  • ミキサー型のPeacock(孔雀)
  • 我慢と平和型のKoala(コアラ)
  • 正確・緻密を求めるOwl(フクロウ)
  • 変幻自在のCameleon(カメレオン)

毎回敬愛する川崎さんのブログに触れずにはいられないのだが、事前に彼がPeacockであること、かつ以下のように述べておられることを知っていたので、ショボい話、自分もPeacockだったらいいなあと密かに思っていた。

想像通りの結果となった。
コンサルタントに向いている人/経営に向いている人は個人的には孔雀だと思っているので、
今回の結果に対しては満足。

この日のワークショップでは、個々人の結果を発表する前にまず各スタイルの説明があった上で、大部屋に貼られた新入生全員の顔写真つきの大判のシートに、各スタイルに対応した五色のシールを予想・評価として相互に貼りあうことを求められた。 

クラスメイトにどのように見られているか

まだ知り合って一ヶ月弱ほどの面子ながら、濃密な時間を過ごしているので、全員とはいかないまでも各人のシートには数十人からのシールが貼られていくことになる。

 

面白いもので、割と勝気な同級生にはやはりTigerのシールが貼られ、協調性の高い人気者にはPeacockのシールが貼られていく。何色のシールであるにせよ、クラスの中で目立つ学生は既にキャラが知られわたっているせいか何がしかのシールが集まっていった。MBAAという生徒会のような組織のPresidentに既に立候補している人望溢れるCには、さすがにPeacockのシールが溜まっていった。

 

まあ落ち着けと。自分もPeacockシールがたくさん貼られているといいな。そう思っていた僕は、いざ自分のシートの前に行き驚愕した。まず、何だかシールが少ない。そして色の統一感もバラバラで、あえていうならOwlが多い。Peacockシールは1枚か2枚。全然協調性豊かな人気者リーダーとみなされていない。そして実は、枚数が少ないことの方がショックだった。まだ自分に評価を下せるほど話した人が少ないということ。そして、評価してくれた人のシールもバラバラなので、全く自分のキャラが伝わっていないということだ。

 

始まるまでは想定していなかったことだが、実はこの方式の場合、沢山シールを集めている人や、印象的な色の貼られ具合をしている人が全員の前で明らかになる(別にシールの数自体はワークショップの趣旨ではない)。自分は、こんなにシールが少ない自分のシートを皆に見られたくないな、とこれまたショボい、そして実に自分らしいことを考えていた。

 

心底しょんぼりしながら自分の席に戻ろうとすると、北京から一緒の日本人K君のシートが目に入った。なんだかとても、ピーコックの色が多い。そしてシールの枚数も自分の1.5倍ぐらいありそうだった。実際K君はいつの間にか、ジャパンクラブのCEOにもなるなど、人望系路線を歩み始めていた。

 

もうだめだ、せめて正式な評価で自分がPeacockであることを知りたい。衆人の面前で自分の正当なPeacock性を明らかにするしかない。憔悴しきった頭でそう考えていた。 

自分の結果

配布された正式な評価シートには、自分がどのスタイルに該当するかは明確に記載されておらず、以下のチャートから読み取ることが求められた。

 

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最左の5つの要素のどれが高いかで、リーダーシップスタイルが判定されるという説明がなされた。

  • Dominanceが高い⇒Tiger
  • Extroversionが高い⇒Peacock
  • Peace/ Patienceが高い⇒Koala
  • Conformityが高い⇒Owl
  • 全部が同じぐらい⇒Cameleon

なんと、自分はTigerであった。Tigerというのは、激しく自己中心的・厚い報酬を求めるゴリゴリ系のリーダーで、まあ皆あまりなりたくない。「あいつTigerっぽくね?」というのは薄ら笑いを浮かべながら口にされるべき表現だ。なお、自己主張強めのMBA生の中でも、今年Tigerに該当するのは約10%であるとのこと。

 

そうこうするうちに、全Tigerの名前が前面のプロジェクターいっぱいに表示され、Tiger達は厳粛に起立することを求められた。「さあ皆さん、これがこの学年のTigerです」とDeanが言い、みんな「Oh...」という反応。僕はもはややぶれかぶれになっていたが、周りを見渡すとやっぱりお前もTigerか、という面々が並んでいた。

 

自分がTigerだというのはそれなりに意外感があったらしく、周囲の何人かには「お前Tigerだったのか!」と言われた。もっとも、一緒にグループワークを経験しているメンバーは「驚きはない、納得」とのことであったので、とうとう観念して現実を受け入れるに至った。

 

思うところ

このチャートの左側部分の解釈は上で述べた通り「本来の自分のリーダーシップスタイル」を表すのだけど、真ん中のチャートは「職場環境において発揮されているリーダーシップスタイル」を表す。ここではDominanceが下がり、Extroversionが大いに上昇、結果的に自分はPeocockになっている。

 

こんなことも踏まえつつ、いくつか思うところを。

  • 職場環境におけるリーダーシップスタイルがTigerからPeacockに変化しているように、自分の生来の型はどうあれ、多少変化させることは可能。実際、マイケル・D・ワトキンスのSTARSモデルにあるように、むしろ企業の状況に応じてリーダーシップスタイルを使い分けることも求められると理解
  • まあ自分は確かにTigerである。一方で、それをうまく使い分けることもできる。但し、自分の特性が最も活かせるのはTigerが求められる状況であること、及びそうでない場合にその他のスタイルを選択するとしても、自分のTiger性を意識した上で行動すべきことを知っておくことには意味がある
  • シールの枚数が少なかったことは厳粛に受け止めるべき。日本人相手でも少数の親密な友人を作りがちなほうだが、留学を機会にこうした人見知りをなくしたいと考えていた。それが全く実践できていない
  • シールの色に統一感がなかったことも、まだまだ存在感が示せていないということだと認識すべき。まだ、Tigerと思われて赤色のシール一面に貼られる方がよい
  • これからの留学生活の中で、リーダーシップを発揮する機会は多く 訪れると思うが、こうした客観的な評価を意識しつつ行動・反省を繰り返すと、得られるフィードバックも多いのではないか

おまけ

  • 仲のいいインド人AもTigerだったのだが、「これは仕事中のストレスフルな状況で回答したからこんなことになったんだ」と弁明していた。やはり皆Tigerになりたくない(というか、Tigerだと思われたくない)のだろう。一方、日本人のO君とM君も同じくTigerで、日本人のTiger率が密かに高いことも判明したのであった
  • 実はこのチャートには「ロジカルか/直観的か」の指標も載っていて、ロジカル値が高い学生はDeanから「Future management consultant!」などと囃されたりもしたのだが、現役マネジメントコンサルタントの自分はこの値がめちゃめちゃ低くて笑った。でも確かに、ロジックは常に大前提として存在すべきとの認識の下、自分は圧倒的に直観性を意識的に重視している