香港MBA留学後記

留学、その後

エアガン一発500円の巻

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電車の中で三丁目の夕日に読み耽っていたところ、銀玉鉄砲で遊んでいるシーンが出てきたのでふと思い出したのだけれど、昔公園で遊んでいたとき、お父さんがエアガンで撃たれたことがあったのだった。そして、撃たれたのは紛れもなく彼自身の責任によるところだった。 

おぼろげな記憶を辿るに、父にはその日妙なハイテンションがみなぎっていたように思う。公園で一緒に遊んでくれることも決して少なくない、実に良い父親であったと思うのだけど、その日の彼は危険だった。エアガンを握り締めた見知らぬ少年に話しかけ、「そのエアガンで俺を撃てたら500円やるよ」などという話を自分から持ちかけたんだからね。結果として、少年はいともたやすく父に狙いを定め、父はといえば両腕を左右に広げたまま微動だにせず弾丸をその身体に受け止めた。 

痛みは隠し切れないものの、潔く500円を少年に渡す父を、当時の僕は誇らしい気分で見つめていた。この人はなんて馬鹿なことを、大人ながらにして成し遂げるのだろうってね。 

かくして父はなお健在で、だけれども今ではかつてほどのクレイジネスは影を潜めている。ひょっとすると、あの日の父は決して大人らしからぬ大人であったわけではなく、実際にまだ子供だったのかもしれない。あれから15年ほども経っているのだから、彼も、そしてまた僕も成長したことだろうか。少なくとも、そうであって欲しいと願っている。