香港MBA留学記

香港科技大学MBA留学で経験したこと、考えたこと

英単語を1.5万個覚えると世界はどう変わるか

英語を諦めてしまう前に

突然だけど、今回の人生において英語の勉強はこの辺にしておいた方がいいのかなとここ数ヶ月考えていた。何せ投資対効果が悪すぎるのだ。冗談抜きで、機械翻訳も今後ますます発展する中、英語の習得に途方もない時間をかけるべきかというのは真剣に議論されるべき論点だ。

 

既に「ある程度」の英語力が身についているということもある。ここでいう「ある程度」を思い切って書き下すと、

  • MBAの授業で教授が話している内容は殆ど理解できる
  • しかし実はネイティブの学生が突如繰り出す質問についていけないことも多い
  • 言いたいことを整理する時間があれば、文法的にまずまず正しい英語を皆が分かる発音で発信することができる
  • しかし流暢な人同士が話している流れに食い込もうとすると、かなりブロークンで聞き手に忍耐を強いる英語を話さざるを得ない
  • 殆どの映画やドラマを字幕なしで観ても楽しむレベルで理解することが出来ない
  • The Economistなど教養あるネイティブが読む雑誌を辞書なしで読むことも厳しい
  • TOEFLは100点取っている
  • TOEICはTOEFL70点台の頃に930点だったから、今は満点取れるかもしれない
  • しかし上記の通り、自分の英語運用能力に絶望している

といったところだ。つまり一言で言えば、「何か特別な理由があればチームメンバーに入れてやらなくもないが、基本的にはストレスなく意思疎通ができないし、英語圏におけるポップカルチャーや時事の話題にも疎いので避けたい外国人」というのがグローバルチームにおける自分の英語力の客観的な評価となるだろう。

 

中学生で英語の勉強を始めた時、自分の目標はアメリカの映画を字幕なしで観られるようになることだった。英語の授業が始まってすぐに、日本橋の丸善にバック・トゥ・ザ・フューチャーのスクリプト本を買いに行った。それから決して少なくない時間を英語につぎ込んできたけど、その目標が達せられる感じは全然してこない。

 

冒頭で述べたように、英語の勉強をここらで止めるのも、合理的な判断の結果として十分にあり得る。というか、他の人が全く同じ境遇にあったら、そのようにアドバイスする気がする。「もうそのへんで十分だろ。日本人として悪くない水準だよ。お前にはもっと向いてるものがあるから、そっちに時間を投資すべきだよ」と。

 

しかし、自分は本当にできることを全てやっただろうか。それどころか特に留学に来てからは、英語の勉強から逃げていたような気すらする。MBA留学に来て英語を勉強しようとするのは日本人だけである。自分は、ろくに英語もできないくせに、英語を勉強することをともすれば恥ずかしく感じて、問題なく毎日をこなせているようなふりをすることに精いっぱいになっていなかったか。なんてダサいんだ。

 

他にもやりたいことがたくさんあるから、英語にばかり時間を使うわけにはいかない。でも、英語に見切りをつけてしまう前に、最後にやってみたいチャレンジがある。

単語力を死ぬほど強化してみる

お勉強という行動が人生の中でもトップレベルに好きなのだが、こと語学の勉強に関しては正直嫌いだし、苦手である。語学の習得というのは、ほとんど鍛錬・トレーニングの部類に入るからだ。

 

勉強をするのが嫌いであるからこそ、実は英語の学習法については一家言を持つレベルで詳しい。なるべく効率的に勉強を済ませたいと思ってきたのだ。実際、その時々で不足する側面を、適切なトレーニングで比較的効率よく伸ばしてきたと言える。しかし、実は分かってはいながら遠ざけていた勉強がある。

 

それが単語だ。「語学は突き詰めれば単語」と言われるほど、大学受験レベルの構文解釈力に加え、単語力があれば殆どの英文を読むことができる。しかし、それではまるで単語力が読解力(リーディング)にしか効かないかのようだが、実はそうではない。そして、ここにこそ自分が伸び悩んでいる真の理由があるのではと思っている。以下の図を見て欲しい。

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上の図は、単語力の乏しさが、自分が一番課題を感じているリスニング力の不足にも影響しているのではという仮説を表している。「インプットが少ない」というのは恐らく間違いがなくて、自分はこれまで必要最低限の英文しか読んできた経験がない。即ち、大学受験の試験問題、及びTOEFLの勉強と試験問題がほとんどで、本を一冊読み通したことなどがない。実は海外ドラマを字幕つきで見て、字幕を読むのに集中したとしても理解できないことがある。これでは字幕なしで聞いて理解することなどできるわけがない。

 

それでこういうツイートをした。

 

元が体育会系なので、プロジェクト的に立ち上げてしまって、覚悟を決めれば一気に走るのは苦手じゃない。いっちょやってみるかと!!!

やり方

自分は勉強法マニアである。途中で軌道修正する可能性はあるが、一旦以下で進める。

目標

英語関連出版の雄アルクによれば、1.2万語が非ネイティブスピーカーとして自信を持って世に繰り出せる水準だという。しかし色々調べるに、1.2万語ではペーパーバックをスラスラ読むには心もとなく、1.5万語は欲しいところであるようだ。人によってはいやいやそれでも足りない2万語は必要だということのようなのだが、まずは1.5万語をマスターしてみよう。それでどれほど世界が違って見えるか。

 

3月は一人月分の仕事を受けているし、月末には試験があり、そこまで余裕はない。自分がどれだけ覚えられるかもわからない。が、いっぺん1.5万語を3月までの目標にしてみよう!!それがだめでも1.2万語!!(それがだめでも1万語!!

教材

5chによれば、

  • 1万2千語まではアルクのSVL(良さそうなアプリもある)
  • その後1万5千語までは英単語の部屋のリストをAnkiというソフトで覚える(SVLと重複がない頻出語をまとめてくれている神様のような人がいる)

というのが鉄板になっているようである。今回はこれでいく。実は英単語の本も軽く10冊ぐらい持っているので、上記を超える範囲または上記の復習でいずれそれらを活用することもあるかもしれないが、まずはシンプルに「SVL+部屋」という構成で臨む。

記憶法

英単語の効果的な覚え方はまだ実はよくわかっていない。TOEFL受験の時はオランダ式カード記憶法というものを用いて、これは忘却曲線の理論にも合致しており確実に記憶に定着するのだが、カードを作成する手間がかなりかかる。実は前から試してみたいと思っていた方法として、村上式シンプル英語勉強法で紹介されていた、「ひたすら眺める」というアプローチを今回は基本理念として採用してみたい。

 

そうはいっても1.2万語まではSVLのアプリ、1.5万語まではAnkiというソフトを使うことになるのだが、あくまで基本理念として。記憶力が高校生の頃よりはだいぶ落ちているので、なかなか覚えられなくても凹まずに、ひたすら眺めて馴染みをつけるような気持ちで頑張りたいと思う。

効果測定

以下のWeblioの語彙力テストは25問で結果が出るからすぐに測定が出来て良さそうだ。正確に語彙数を把握するよりも、素早く粗く測って、その分を勉強に充てられた方がいい。

uwl.weblio.jp

 

早速測ってみた。MBA留学生というのはTOEFL100点及びGMATをクリアする過程の中で、約9,000~10,000程度は語彙力を身につけると言われる。多少衰えたとはいえ、今でも8,000語程度はあるだろう。それでも2倍近くまでボキャビルすることになる。低くない目標を立てたものだ。

 

 

え、6,000~7,000語しかないの・・・?これは・・・低くない目標だ・・・。

一緒にやる人募集!

毎週土曜日に測定していきたいと思います。もっと上のレベルの人も、下のレベルの人も、一緒にやる人募集!!ツイッターのハッシュタグは #1ヶ月で1万5千語 とかで。やるぞーーーーー!!!

香港滞在折り返し地点~振り返り

早いもので昨年7月末に香港に来てから既に半年が過ぎ、香港に滞在するのも最大で残り半年となってしまった。今年の8月以降は上海に移り、(選考にうまく通れば)CEIBS-中欧国際工商学院に交換留学に行くことになる。

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学校の授業

Fall 1とFall 2それぞれ約2ヶ月ずつのセメスターに加え、約3週間のみのWinterセメスターが終わったわけだが、Fall 2はとりわけ大変だった。ほとんどの時間を課題の準備に追われてしまったと言える。

Fall 1

Management of Organization(成績A、学んだ度★★★☆☆)

Managerial Micro Economics(成績A、学んだ度★★★☆☆)

Financial Accounting(成績A、学んだ度★☆☆☆☆)

Corporate Finance(成績B+、学んだ度★☆☆☆☆)

Strategic Alliance in China(成績Pass、学んだ度☆☆☆☆☆)

The Art of War and Eastern Wisdom(成績B+、学んだ度★★★★★)

 

MBA生活始まって早々だったので、授業に対しても結構やる気があった…のだが、さすが新興のMBAだけあって、授業毎の当たり外れが非常に大きいということを痛感した。

 

例えばStrategic Alliance in China。その名の通り、中国における戦略的提携を扱う授業であるとシラバスにも書いてあったのだが、いざ始まってみると殆ど全く「中国」にも「提携」にも触れられず、なぜかロンドン発のFintechスタートアップの話ばかりを取り扱った笑 当該スタートアップの創業者をゲストスピーカーに招くなどもあり、それ自体は良い機会だったのだが、こちらもシラバスを読み込んで受講科目を選んでいるのだから勝手なことをされては困る。

 

また、最初は必修科目が多いので、商学部卒かつ経営コンサルタントをやっていた身としては、どうしても学びが少ない(法学部卒の弁護士がキャリアチェンジまたはキャリアにエッジを持たせるために来る、又は工学部卒のエンジニアが企画系に転ずるために来る、というのであればすごく意味があるのだろうが)。まあ、そんなことはわかっていたので、必修科目については仕方がない。

 

その点、The Art of War and Eastern Wisdomの授業はHKUSTならではの授業であった。全4回に過ぎないのだが、孫子の兵法をはじめとした東洋の智慧・東洋思想を深く掘り下げていき、個人としての生き方と企業戦略への応用について議論するという内容。正直内容を完全に消化しきれておらず、後半の課題として残るのだが、この授業を通じて一つ自分の中で鳥肌が立つほど理解が進んだ重要な考え方に触れることができたのは本当に良かった。

 

なお、ビジネススクールによってビジネス知識を一級レベルまで磨くことは難しいだろう、と思う。2年ぐらいのプログラムで、例えばファイナンスならファイナンスに絞って徹底的に偏った選択をすれば特定分野でそれなりの知識を得ることはできるだろうが、例えば一橋大学の商学部で4年間みっちりやったトップクラスの学生の方ならば、知識レベルではMBA生よりも強いと思う(HBS, Stanfordなどでも同じだと思う)。

 

では、MBAに来た意味はないのか…?と言えば、そんなことはないというのが現時点での答え。この点についてはいずれ触れたいと思う。

Fall 2

Global Macro Economics(成績B+、学んだ度★★★★★)

Marketing Strategy and Policy(成績A-、学んだ度★☆☆☆☆)

Data Analysis(成績A、学んだ度★★★★☆)

Operation Management(成績A-、学んだ度★★★☆☆)

China's External Relationship(成績A-、学んだ度★★★★★)

 

コア科目は、看板教授のRaoによるGlobal Macro以外は取り立てるべきものがなかった。Data Analysisは初等の統計学ではあまり扱わない話に入り込んでいき、自分は興味深かったのだが恐らく大多数の学生にとっては謎だっただろうし、Operation Managementは本来オペレーションの授業でカバーすべきことを扱わず、News standだの待ち行列だの、割と限られた問題における計算演習に重きを置いていて、これまたMBAの趣旨として「?」と思わざるを得なかった。

 

Rao教授を除けば、China's External RelationshipもHKUSTならではの中国系授業。この授業に関する説明は、敬愛する川崎さんのブログにお譲りしたい。

ちょっと脱線するが、選択科目が予想していたより面白いので少し紹介したい。

現在受けているある授業は、ニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナルの記者を経て教授をしている人に教わっている。文化大革命直後の閉鎖的な中国で記者として動くことを許可された数少ない一人である。

この授業は中国と周辺国の関係について歴史、外交、経済の関係を分析するというもの。加えて、毎回その関係を語るにふさわしいゲストスピーカーを呼ぶ。ゲストスピーカーはAmbassador、公的機関のRepresentativeのレベルの方々である。プレゼンは15分、Q&Aは平均90分というところからも、学生とゲストスピーカーのやり取りがいかに活発かがわかっていただけると思う。教授のプレゼン能力は極めて低いものの、コンテンツのすばらしさ、準備に対する姿勢などから、普段は辛辣なコメントを吐く友人達からも評判がとてもよい。「Awesome」との評価を受けている。 

今年も、各国の大使館をはじめ、そうそうたる所からゲストスピーカーにお越し頂いた。中でも、親中派で香港人から結構嫌われているRegina Ip氏が来た回は、香港人に話すと羨ましがられたものである。その他、中国からは一切招かずに、ひたすら世界各所からお呼びして中国に関する見解を語って頂いたのは貴重な機会であった。

Winter

Responsible Leadership and Ethics(成績?、学んだ度☆☆☆☆☆)

Managerial Communication(成績?、学んだ度★★★★★)

 

Responsible Leadershipの授業は本当にひどかった。過去数年この講義を同じ教授で開いているはずだが、レベルが低すぎて話にならない。EthicsはMBAの重要科目なのだから、MBAOは真剣に改善を検討すべき。

 

一方、Managerial Communicationは本当に素晴らしい授業だった。15人ほどの小規模なクラスで、一対一・一対多・多対多など様々なシチュエーションで、プレゼンもしくは即興のQ&Aやストーリーテリングをする授業だったが、ほんの8回の授業を通し、はじめて英語でのプレゼンにある程度自信を持つことが出来た。これまではしゃべることを一言一句覚えていないとプレゼンに臨むのが怖かったのだが、ポイントさえ頭に入れておけば手ぶらで臨んでもなんとかなる、という心持ちになることが出来た(もっともあくまで最低限のレベルであって、英語力もひどいものなので自分で録画したビデオを見返しすと恥ずかしさに悶絶してしまう)。

 

ことMBAに来てからというもの、英語に限らずプレゼンそのものに関しては実に学ぶところが多い。言語力だけでなく理解力、背景知識などが異なる聞き手を相手に、如何に惹きつけ・理解し覚えてもらい・動いてもらうかを、ここに来てはじめてといっていいほど考えている。恥ずかしながらこれまでコンサルタントの仕事をそれなりの期間やっていながら、プレゼンを軽視していたということが身に染みた。

交友関係・課外活動

友人Aの結婚式

コアグループが一緒の友人Aが結婚式を挙げた。彼はフランスから香港に転職しもう10年弱ここにおり、当地で香港人の女性とこのたび結婚することになったのである。香港でご祝儀ってどうするんだ!?など、こちらにとっても色々初めてのことがあり戸惑ったのだが、ベイエリアが見渡せる凄まじい夜景のレストランでの結婚式に招いてもらったことはいい思い出になった。

スキートリップ

Aの結婚式が終わり、その足で空港に向かいゴミ箱にスーツを脱ぎ捨て、同級生約30人と共にニセコにスキー旅行に行った。他の日本人二人が色々と細かい気づかいをしてくれたこともあり、皆非常に喜んでくれ、間違いなくMBA生活の中でも記憶に残る思い出になったことは間違いない。しかし調子に乗って滑っていたら森の中で木に激突し肋骨を折ってしまい、まだ痛む。

ケースコンペティション

学内の選考チームに残ることができ、2月の8~10日に米国イリノイ大学のケースコンペに参加できることになった。HKD15,000がポンと渡されるので、帰りに少し米国旅行を楽しむ余裕もありそう。正直MBAのケースコンペはあまり好きじゃないのでコンペ自体は何も楽しみではないのだけど、これも良い思い出になるといいと思う。また、プレゼンはとにかく場数がものをいうところもあるので、これも英語プレゼンのいい練習になることを期待。

 

2回に分けて書く予定だったけど、面倒くさくなったので一旦ここでおしまい。

MBAでは習わないデータ分析

来週マーケティングのクラスでチームに分かれてのディベートが予定されているのでケースを読んでいたのだけど、ふとある分析を思い立って少し手を動かしてみたら、いくつか大きな問題はあるものの、クラスで発表する分には十分に面白いのではと思える結果が手に入った。

 

コンサルタントの世界から離れて生活するようになって、コンサルタントならではの物事の考え方や表現の仕方の良いところ・悪いところを感じるようになっているのだが、今回20分程度でこの分析を完成させられたのは、明らかに良いところではないかと思えたので、自分の勘を鈍らせないためにも記録しておこうと思う。

  

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仮説から始める。その前に論点から始める

色々なチームでグループワークをすることが多いが、少し本格的な課題になると、すぐに「まずはどんなデータが手に入るか調べよう」「マクロ環境担当、自社担当、競合担当で分担して調査してから議論しよう」ということを言い出す人がいる。他に「SWOT分析をしよう」「PEST分析をしよう」みたいなことをいう人もいるが、結局発想の根底は同じで、要は論点・仮説・メッセージがなく、タスクから考え始めている。

 

よく勘違いをされがちだが、まともなコンサルティングファームでSWOT分析が報告書に入ることはまずない。SWとOTを掛け合わせて「強みならではの機会」「弱みから生じる脅威」にすればいいかというとそういうことでもなくて、要は「SWOT分析をしよう」とした瞬間に、メッセージベースではなくタスクベースになってしまうからである。自分一人、または社内での発想・議論用のツールとしては悪くないかもしれないが(自分は使った記憶がないが)、それはある意味「試行錯誤」の跡でしかないので、お客様に報告するようなものではない。

 

結局、内田一成さんが著書論点思考・仮説思考にて説いておられるように、論点思考・仮説思考が、短時間でなるべく高く跳ぶための思考法として優れているというのは恐らく疑いがない。科学研究の世界のことはよくわからないが、安宅さんのイシューからはじめよを読む限り、研究者においても論点思考・仮説思考は基本なのだと思われる。

 

論点思考

論点思考

 

 

 

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

 

 

 

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

 

 

ということで今回のケースでどのように 進めたか。今回は「ロレアルが買収した中国現地のラグジュアリーブランドを、情緒性推しでいくべきか機能性推しでいくべきか」というのがお題だ。実は我々のチームは「機能性推し」を結論として主張しなくてはいけないということになっているので大論点は明確だ。

 

そこでなんとなく、「成長著しい中国では、消費者の嗜好性が年々変化しているのではないか」「都市間の格差が激しい中国では都市別の嗜好性に差があり、上海など先進的な都市にはその他の都市の未来を占う特徴が現れていないか」という仮説を思いついた。

仮説を検証するためのデータを探す

あくまでクラスのディベートであり、ケース外のデータを探しに行くことも推奨されてはいないのだが、早速日本語で「中国 化粧品 都市別 トレンド」というキーワードで検索したところ少し古いJETROのレポートが手に入り、そこに以下の図表が載っていた(抜粋)。

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これは、都市別の消費者にこれまで購入したことがない化粧品をはじめて買うときの購買理由について複数回答してもらったアンケート結果である。1位の「サンプルを利用してよかったから」はまあいいとして、上海と広州で「機能性」が2位に来ている点が目に入った。よくよく見ると、その他の都市で2位に来ているのは殆ど「商品のブランド」である。

 

最初に思い立った仮説をこれで検証できるだろうか?と考える。例えば「『商品のブランド』を『情緒的価値』と読み替えた上で、先進的な都市では消費者が洗練されているため、自分自身で機能的価値を解釈して選択する消費者行動に移行している」といったことが言えるか?誰が見ても二つ大きな問題がありそうである。 一つは、ブランドを情緒的価値と単純に言い換えるのはあまりにも乱暴。二つ目は、上海と同レベルの都市である北京では「商品のブランド」が2位に来るほど高く評価されている点に矛盾が生じる。

 

コンサルティングのプロジェクトであれば、

  • 他のデータソースを探す
  • そもそもデータを自ら取り直す
  • 北京に関するインタビューをする

と、無数の解決策があり得るが、所詮ここまですることを求められていない授業の準備に過ぎないので、むしろ「仮にこれらの問題が解決されたとしたら言いたいメッセージが言えるか?」の方に関心がある。

どのように見せるべきか

なるべく平易な形で分析結果を示せないと、お客様を説得することはできない。ということで検証作業を進めつつ、「どう見せたら伝わるか?」について並行して考える。

 

当初の仮説「人々が洗練されるほど機能的価値を解するようになる」をもし言えるとすると、二軸のマップで表すことができるのではないか?と考える。横軸に洗練度を表し、縦軸に機能的価値を重視する度合いを示せれば、すごくクリアに示すことができる可能性がある。

 

縦軸の「機能的価値を重視する割合」を表すにはどうするか。先ほどの表には都市別に重視する項目が順位で示されているが、一応「その項目を重視すると答えた人の割合」も示されている。例えば、「機能性」で重視する人の割合を「ブランド」を重視する人の割合で割ると、数値が大きい都市ほど機能性をより重視しているという、一次元の数値に変換できる。

 

横軸はどうか。中国統計局のデータで手に入りそうなものを念頭に検討すると、例えば以下のような数値が代理変数として考えられる。

  • 一人当たりGDP
  • 一人当たり賃金
  • 可処分所得
  • 可処分所得あたりの化粧品に支出する割合
  • 可処分所得あたりの服飾に支出する割合

中国統計局のサイトに行ったところ、一人当たり賃金がすぐに手に入った。上に挙げたデータの中では代理変数としては粗い方だが、あくまで時間をかけたくないので一旦これを横軸に使って散布図を描いてみる。

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すると、見たところ明確な右肩上がりの関係性が見て取れる(注:直線は正確な回帰直線ではありません)。試しに相関係数(二次元なら回帰分析の決定係数のルートであり、0.7以上なら比較的相関が強いというのをMBA生でも知っているので有用)を見ると0.82、回帰分析をするとxの係数、y切片共に有意といって差し支えない水準(こんなに少ないデータ数でこんなことを述べるのは嫌なのだが、こういうことを言うと納得する人が世の中多いので。特にMBA生)。

 

※ただし実は右下に「平均賃金は高いがブランドを重視する都市」として北京が隠れている。これをどう扱うかは明日チームと要相談

何が優れているのか

論点・仮説から考え始める思考法の何が優れているのか。それは、

  • 時間を圧倒的に節約できる(限られた時間を有効に使える)
  • ユニークな分析にたどり着くことができる

ということに尽きる。とりわけ前者がよく主張されており、自分でもそう思っていたのだが、実は後者のメリットも大きいと今回思った。

 

論点・仮説なしにボトムアップでデータの収集を始めると、手に入るデータや分析は基本的に「既に誰かが考えたもの」であり、そのデータは「誰かが自分の目的のために集めたもの」である。メッセージありきで、それを示すためにデータを集めるという発想だと、ドンピシャのデータがないことの方が多いので何かの工夫が加えられることになる(新たにデータを集めることも、インタビューをすることも、今回のように「機能性÷ブランド」という操作を行うこともそれに該当する)。

 

 

こういうやり方に親しんでくると、「まず業界分析をしようよ!それでわかったことを持ち寄って議論しよう」という進め方が気持ち悪いなと感じるようになる。10ページ程度のケースに書いてあること、10分ググれば分かることだけで仮説の議論を先にしたい。

北京旅行の個人的おすすめ集

後輩が北京旅行を検討しているというのでお節介にも長々とおすすめを紹介してみたりしたので、ブログの方にも載せておこうと思う。

 (以下、後輩へのメールに加筆修正・写真の追加をした上で転載。798芸術区は紹介し忘れたので完全に追記)

 

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食事/バー

  • 1949 The Hidden City(北京ダックがかなり本格的です。この店に行かないとしても、この周りの地区はとても洗練されていて欧米人も多いところでバーで飲み歩くのも楽しいです)

www.tripadvisor.jp

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こんな風に目の前で切ってくれる
  • Haidi Lao(日本にもあるかもしれませんが、とても安いのにサービス満点で美味しい火鍋です。8元でタレ取り放題・果物食べ放題。スイカが甘い。中国発で成功している珍しいホスピタリティ型レストランチェーン)

www.tripadvisor.com

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〆のラーメンを頼むと目の前でパフォーマンスしてくれる。床に麺がついた場合はやり直してくれるらしい(当たり前)
  • Red Bowl Beijing(Rosewoodというホテルの一階にあります。少し高いですが、とても本格的な火鍋。高級火鍋のベンチマークになるうまさ)

www.tripadvisor.com

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食べ始めたら夢中になってうっかり写真撮り忘れたので食べる前の。赤いやつも辛くはない
  • KOKOMO BAR(取り立てるほどのことはないのですが、ルーフトップバーでブランコなどがあり、気分がよいです。週末は早い時間からDJブースの周りに人が増える。意外と東京でこういうところがない気がする。六本木の1967のテラス席をカジュアルにして、音楽を大きくした感じ?ここの店の2階か3階にはゲイ専門のバーがあって賑わってます。この周り自体が散策して楽しいエリア)

www.timeoutbeijing.com

クラブ

※金土以外は人がいません。三里屯ユニクロからタクシーで5分ぐらいの工人体育館前に集中しており、各クラブの前は外車ショーのようになっています。ナンパなどは少ないので、女性だけで行っても比較的安心して楽しめるかと思います

  • Lantern 灯笼(作りが洞窟感があって、クラブとしてかなり良いです。僕は一番好き。地元の人に聞いてもわからない人が多いのでよく調べてから行くこと)
  • ELEMENTS(東京でいうとV2的なメジャーさと分かりやすさのあるクラブです。異常なVIP席の数にバブル感を感じることが出来ます。VIP20対フロア1ぐらい?上の階に上がり、VIP席をぐるっと一周するだけでも楽しいんじゃないかな。冴えない風貌の金持ちおじさんに超美人の女の子達が席づけされていますが、恐らく素人ではないと思われます)
  • ROOM79(ELEMENTSと中のドアで繋がっていて、女性は自由に行き来が出来たはずです。クラブとしてはELEMENTSより音箱感があります)
  • なお、ネットで北京のクラブについて調べるとMixとVixというところを勧めているものが多く、確かに工人体育館の両脇というわかりやすい場所にあるのですが、両方クソです。短パンに白長靴下の男がお立ち台でパラパラ踊ってたりします

宿泊

  • 北京の表参道(と勝手に僕が思っている)三里屯(sanlitun)周辺がお勧めです。ここ自体は高いですが、インターコンチネンタルとユニクロのある交差点が一番便利な場所だと考えた上で検討するとよいと思います

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いわゆる「I LOVE BJ」と書くと「I LOVE Blow Job」と同じじゃないか問題で局所的に有名なやつ

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インターコンチ対面のユニクロ。ここは試着室で性行為してた人たちが発覚してスキャンダルになった件で世界的に有名な店です
  • ホテルに泊まるのもありですが、Airbnbでもかなりおしゃれで安い(一日2,000~5,000円)ところもあるので検討の価値あり。ユニクロ向かいには結構広々とした小区があり、多くの物件が出ています

観光

  • 万里の長城(行き帰りの移動だけでもツアーに申し込むとよいと思います。英語のできる運転手をつけてくれます。登りはリフトで帰りは滑り台のコースがいいと思います)

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アップダウンが激しいので結構つらい。一応、緩いルートもある
  • 天安門広場→紫禁城→景山公園(三つ並んでいるのでこの流れで回れます。荷物があるといちいち荷物チェックがあるので、軽装が吉)

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景山公園の上からは紫禁城が(大気汚染と共に)見渡せます
  • 前門(フォトジェニックな史跡を見ながらご飯を食べられるレストランなどがあります)

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こんな感じの中華風フレンチなど@前門M
  • 王府井(特に何がというわけではないのですが、だだっぴろい道に中国らしい繁華な街並みで楽しいです)

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こうした洗練された街並みから一歩入るとガチの中華街が広がっている
  • 798芸術区(チージゥバーと読む。元は工場だったところをモダンアートな地区に改変したらしい。色々かっちょいいので行ってもいいかも)

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    なんかチームラボも来るっぽかった

その他

  • 冬は特に大気汚染がひどいそうなので、マスクは必携です
  • ホテル、バー、クラブ、スタバ以外では簡単な英語すら通じないことが多いことに注意
  • 特にタクシー運転手は気が短いのでコミュニケーションに注意です

 

Fall 2開始

あっという間にFall1が終わってしまった。授業の振り返りなども、成績が出揃ったところでまとめておきたいと思う。

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さて、Fall 2は以下の授業に登録している。

  • Global Macro Economics
  • Marketing Strategy and Policy
  • Data Analysis
  • Operation Management
  • (選択)China's External Relationships and Their Economic Impact ※前半のみ
  • (選択)Asian Invisible Giants, Japan and Korea ※後半のみ
  • (選択)Mandarin Level 3

 授業開始後の生活に慣れるのに精一杯となってしまったFall 1の反省を活かして、Fall 2はかなりのメリハリをつけていきたい。具体的には、既に一定の経験と知識があるマーケティングとデータアナリシスは徹底的に手を抜く。但しマーケティングは多国籍ならではのディスカッションが楽しめそうな構成なので、議論するために必要な準備だけはしっかりやる。また、MBAの目的の一つはネットワーキングだとよく言われることであるが、自分の中での優先度を考えた結果、今の所いわゆる社交イベント系にはなるべく顔を出さないようにしようと最近思い始めた。

 Fall 1の後半から、ルーティンで設定している学習や日課の計画と達成度を管理しているのだけど、試験の準備やらで結局ぐだぐだになった。以下の青色部分が予定通りに実行できたものなのだが、後半に行くにつれて目に見えて達成率が落ちている笑 ※記載内容自体は恥ずかしいので省略

(予定管理表)

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 Fall 2は上記の通り気が触れたかのような履修予定になっているので、選択科目のうちAsian Invisible Giantsは履修をやめるかもしれない。なおこの授業の名称は元々Asian Forgotten Giantsだったのだが、何かに配慮をした結果なのか現在の名前に変更になったものである。アジアフォーカスを謳うHKUSTとはいえ、選択科目にはやはり中国関連のものが多い中、アジアに造詣が深い米国人の教授の視点から見た日本の話が聞ける点では非常に楽しみにしているのだが、いかんせん負担が重すぎるかもしれない。

 なお昨日はもう1つの選択科目であるChina's External Relationshipsの第一回の授業があった。各回でそれぞれ米国・日本・北朝鮮・アフリカといったテーマを扱い、ゲストスピーカーを交えて結構突っ込んだ話をするようなのだが、第一回はとりあえず中国の歴史と米国との近年の関係性を軽く触れた程度で終わった。

しかし、授業終盤で一人の中国人学生がこんな質問を。

「先ほど『米国は中国の人権問題を批判している』といった説明があったが、中国人の観点からは理解しにくいところがある。どういったことを批判しているのか説明してくれないか?」

おいおい、授業では詳細は説明しなかったものの、天安門・チベットなどにも触れていたじゃないか・・・といったところなのだが、彼自身は真剣そのもので質問していたように見える。

なお中国では天安門事件で何があったかは教えられないといった話を日本ではよく聞いていたが、実際に中国人の同級生に聞いてみると、「教科書には確かに市民運動が起こり鎮めたといった簡潔な記述しかないし、教師も淡々と説明するのみ。それが良かった悪かったといった評価も加えない。但し、教育を受けた中国人はそこで何があったか当然知っている」ということのようである。それを踏まえると、この授業における彼の発言はあまりにもイノセントというか、本当にどのぐらい分からなくて言っているのかは量りかねるところではある・・・。

実際、教育を受けた中国人は当然すべてのことを知っているとはいっても、どのぐらいのところまで外国人が踏み込んで聞いたり議論したりしていいのか、まだわかりきっていないところがある。香港人や台湾人も多い環境でありながら、「香港は中国だ(これは確かにそうなのだけど、香港人的には色々思うところもあるはず)」とか「台湾は中国だ(これは大いに異論があるはず)」とガツンと言い切るコワモテもいるわけなので、なかなか慎重に進めなくてはいけない。

 

さて、Centralからの帰り道、North Pointまで日本人3人+台湾系米国人のRが一緒の電車だった。彼は学部でNYUを卒業しているアメリカンだが、親戚は台湾にも多く、祖父は横浜生まれというバックグラウンドであり、普通話も流暢に話す。Fall 1のStrategic Alliance in Chinaでは、いつも最前列で熱心に授業に参加し休み時間も教授をつかまえて話し込んでいるようだったので、中国に対してどういうスタンスでいるのかが気になっていた。

Rの話していた中で、いくつか気になったことが。

今日の授業は基本的な内容だったね

  • 実は当日の授業後に日本人同志で話していたのだが、日本では中国史上の人名を日本語読みで習うので、孫文・蒋介石・毛沢東・鄧小平・江沢民・胡錦涛・習近平といった人名の英語読みがわからないと、こうした授業を理解するのは難しい
  • かつ、一般に大学受験では現代史はあまり出されない(歴史の審判を経ていないcontrovertialな論点を問いづらい)ため、第二次大戦後の中国史に関する理解が浅い
  • その一方で、古代~中世の中国史は中国人が驚くほど勉強しており、漢文という形で中国古典まで勉強している笑 しかし、これまた日本語読みでしか覚えていないと、こうした話をするのも難しいのはもったいない(というか、それが出来ないと勉強した意味あるのか?)

 

実は元カノが大陸人で、彼女の親が強い反日だったので彼女もそのような考え方だった。自分は決して日本を擁護するわけではないが、正しい歴史を理解することの重要性を伝えるよう努力した

  • 普段同級生と話していると、もちろん面と向かって反日だと言ってくる人はいない。しかし、こうした形で人づてに反日の話を聞くことはあり、実は貴重な機会

 

我々は新しい世代なので、過去を引きずってはいけないが、正しい歴史は勉強するべきである。米国の高校の歴史の授業では、ネイティブアメリカンの迫害や奴隷制度については殆ど触れられない。ドイツなどではよく教育が行われていると聞くが、日本もそうすべき

  • 実は日本人は小学生のころから太平洋戦争についてはよく勉強している。しかし。少しイデオロギーが入った感想となるが、千葉県の公立小学校を卒業した身としては、日教組的な過度な自虐史観を植え付けようとするがあまり、その後(特に中途半端に)勉強をした人ほど、「嘘を教えられた」反動でネトウヨ化しやすいと感じている。なので太平洋戦争に関する教育は大いに改善の余地があるものの、「量として」不十分ということはないと考えている
  • なんとなく一言いっておきたい気分になった。電車がNorth Pointに差し掛かっていたが、「実は、日本では『侵略』の話は十分に教えられている。なのだが問題は、いま中国・韓国の人々が実際のところどのように考えているのかを十分に考えられていないことだ。つまり…」
  • 実はこの先に何を言いたいかが決まっていなかった笑 ちょうど「I mean...」のあたりで(想定した通り)North Pointに到着したので、「また今度話そう」といって別れた。ただ、(中韓に限らない)世界の人々(や一部の左翼)がひょっとすると考えているように、太平洋戦争に関する日本の歴史教育が「量として」不十分ではないということを、せめて口に出しておきたかった(恐らく伝わっていないと思うが)

 

その他、もう一つ気になったものの前述の通り慎重になりすぎるがあまり深く聞けなかったことがある。

中国に対する自分の考え方は、一般的な台湾人の多数派とは異なるかもしれない。父・祖父は台中統一派だから

あえてだとは思うが、彼自身がその考えだとは言っていなかった。しかし、文脈からは恐らくそうだと判断できる。恐らく台湾人の同級生の前でも発言しづらい考え方だと思うが、彼が中国をどのようにとらえ、今後どのように向き合っていくつもりなのか、今後どこかで突っ込んで聞いてみたい話である。

 

実際のところ、まだまだ歴史含めたアジアの知識が浅いために、深い話を聞くに足る実力がない。早く身につけなければ機会を逸することになるので、早急に深めていきたい。

誰も教えてくれないビットコインへの純粋な疑問

もちろんこれまでも「ビットコインがここまで上がった」とか「日本の法規制がとうとう仮想通貨を認めた」とか、何だか景気のいい話は耳に入ってきていたのだけど、ここ1~2週間で立て続けに身の回りでもビットコインの話が聞こえてきた。

 

「ビットコインの会社を作り、大手と提携しました」

とか

「友達の彼氏がビットコインの会社を作ったんだって」

とか、そういう話である。

 

以前Fintechについてまとめて勉強した時に、ブロックチェーンについては多少の知識を得たのだけど、ビットコインについてはずっとシンプルな疑問を持っていた。それは、

 

「価格がこれほど乱高下するものが果たして決済手段として普及するのか?」

 

ということだ(そもそも「ビットコインの会社」って何だ?みたいなこともあるのだけど)。そうはいっても他にやりたいことが山ほどあるので放っておいたのだけど、あまりに世の中が盛り上がりすぎていて、今後数年で何か大きな動きがあるように思ったので、自分なりの考えと疑問を一度整理しておくことにした。

 金融での勤務経験があるとはいってもプライマリーマーケットで数年過ごしただけなので、決済関連やその他経済全般には素人同然であるということ、及び一部憶測や仮説も含んでいる点はご理解頂き、理解に誤りがある点などあれば是非ご指摘頂ければと思う。自分はただ、「本当のことが知りたい」だけである。

 なおビットコインを支えている技術であるブロックチェーンに関しては、自分は元より肯定的である。

 

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「(自称)ビットコイン専門家」の方々とのやりとり

まずは「ビットコインの会社を作りました!」と熱っぽく語って頂いた方に、その場で疑問をぶつけてみることにした。

 

専「ビットコインはこれからすごいんです。まだまだ上がるんです」

し「あの、こんなに値段が乱高下するものが、本当に決済手段として普及するのでしょうか?」

専「それは確かに問題としてあると言われています。でも、まだ上がるんです」

し「…これから市場参加者が増えると、値段はある程度落ち着くので決済手段としての有効性も高まるんでしょうか?」

専「確かにそれはあるでしょうね。でも、まだ落ち着くには早い。上がるんです。数学や統計に詳しい学者の方の中には、〇〇〇万まで行くと言っている方もいます」

し「今日はお話を頂きありがとうございました」

 

ますます疑問が深まったと共に、疑問が疑念に変わってきたように感じた。ということで今朝インターネットで色々調べてみたんだけど、疑問を解消してくれるようなものがいまいち見つからない。現在ライトに出回っているニュースでいうと、

  • 一部、日経新聞やGIGAZINEなどによる比較的冷静な記事
  • そして大量の「ビットコイン専門家」の方々による啓蒙記事

後者がやばい。基本的に、決済手段としての普及可能性を論じているものはほとんどなく、一部あるとしても「とまあ、決済手段としては色々ハードルはあるんですがとにかくまだまだ上がりそうなんです!」みたいな、ビットコインの将来というものについて、意図的なのかそもそも理解していないのか、決済手段としての可能性と値上がり可能性を完全にごっちゃにして語っている。

 更に、金融リテラシーというか、インテリジェンスにも基本的に乏しい。例えば、以下のような記事を見ただけでも、金融に関する知識が全くないことがわかる。

ビットコインはビジネス面では決済手段としての利用が注目されがちであるが、個人レベルでは、値上がり期待や価格変動の大きさを狙った裁定取引ニーズが相応に大きい。

(中略)

もう一つの、裁定取引ニーズについては、現状のビットコイン価格は非常に大きな幅で価格変動をしているため、売買差益を狙ったトレーディングで収益を上げることも可能な状況にある。裁定取引自体は市場に流動性を供給する役目を担うため、株取引同様、その存在意義は大きい。

ビットコインでなにができるのか? | ビットコインの最新情報 BTCN|ビットコインニュース

 ご案内の通り、裁定取引とはこういうことではない。裁定取引とは、異なる値付けがされている同価値の資産を取引することで、無リスクで利益を得ることである(上記とは別に、ビットコインは各国の取引所間で値付けに差が生じているらしく、これを活用するのは裁定取引である)。もっともこのような用語を知らないこと自体をとがめているわけではなく、「自分でもよくわかっていないことをわかったように語る人が多い業界なのでは?」と感じたため、かなり情報を選別していかないと、間違った考えに到達してしまうと危機感を得た次第。なお、この著者の方は「ブロックチェーンの衝撃」という本を堂々と出版されているようである。それは確かに衝撃だなと思った。

 気を取り直して、情報を選り分けた上でビットコインに関するプラス面・マイナス面をまとめてみた。 

ビットコインの冷静なPros/Cons

いちいち書かないと「脱中央集権的な設計思想を持つビットコインは中立・公正・平和といった人類にとってかけがえのない価値観の奪還を云々」みたいな不思議な論を吹っかけられそうなので前もって言っておくと、決済手段としての普及可能性に絡む重要な部分だけをまとめている。

 【良いところ・可能性(とされていること)】

  1. (理論上は)海外送金も含め手数料が安い
  2. 発行量の上限が決まっているのでインフレ耐性がある
  3. 自国通貨の信頼性に依存しない
  4. 即時決済が24時間可能

1が最も重要な利点だと思われるが、現実的には手数料が上がり続けているので、後の方で「悪いところ」と合わせて考えることにする。

 2と3は、他の資産によっても達成し得る利点だが、運用手段が増えること自体は悪いことではないだろう。

 4は現時点ではP2P取引ならではの利点とも言えるが、彼らのいう「中央主権的」な決済手段であっても、やろうと思えば対応できなくはないのではないか。そもそも信頼性が高い「中央集権的」な手段の場合には、どうしても振り込み確認が即時的に必要な場合はインターネットバンキングの取引完了画面を見せれば事足りることが多いだろう。なおビットコインであっても処理完了のために多少は時間がかかるし、理論上は手数料の多寡によって処理完了の優先度が変わることになっている。

 【悪いところ、懸念点】

  1. (現実的には)手数料が上がり続けている
  2. 価格が乱高下している
  3. マネーロンダリングなどに使われやすい ※省略

さて、先ほど述べたが1の点が非常に重要で、ほぼ唯一といってもよいビットコインの優位性を揺るがしかねないのではないかと思った。ビットコインはP2Pで取引が完了するので銀行やクレジットカード会社といった中間業者にマージンを取られないというのがウリだ。しかし、現実的にはそのP2P取引を支えている「マイナー(Miner)」と呼ばれる人達に、新規コイン発行と合わせ、決済者からの取引手数料が支払われている。この取引手数料は理論上は決済者が自ら決めていいのだが、手数料が低すぎる場合にはなかなか処理が実行されないため、実際にはほとんどの場合においてサービス提供者側がうまく調整するようだ。そして、直近だと200円強という報告がされている(以下サイト参照)。

ビットコインで1週間生活してみた 手数料には仰天|マネー研究所|NIKKEI STYLE

 

かつ、この取引手数料はデータサイズが増えると上昇し(データサイズが大きい場合は、取引手数料が大きくないとマイナーが処理を手掛けてくれない)、当初無料同然だった手数料が既にここまで上がってきている。更に、ビットコインの発行量上限は2,100万枚と定められており、2140年には新規発行が行われなくなるとされているようだが、新規発行が行われなくなるとマイナーの収入源が取引手数料だけになるので、ますます手数料は上がるはずである。なおデータサイズに関連しては「ブロックサイズ問題」と呼ばれるその他の大きな問題も存在しているのだが、これは優位性云々以前に仕組みとして存続可能かという、ある意味「そもそもの話」になってくるのでここでは触れない。

どうせ送るなら何円送ろうがデータ量には影響がないということのようなので、はちゃめちゃに高い海外送金などではめちゃ有利なのではと思ったが、以下のブログでは、USに送金はできても出金はできないという状況が報告されている。そもそも、TransferWiseの方がずっとシンプルでかつ手数料もそれなりに安いということもあり、海外送金においてもビットコインである必要性は現段階でかなり薄い。

ビットコイナーの方々はよくクレジットカードの料率と比較してビットコインの手数料は安いということを指摘されているようだが、例えば同じように電子決済可能なWeChat Payなどでは銀行口座からチャージする時も支払うときも手数料無料である。頼みの綱の海外送金でも便利なサービスがあるとなると、ビットコインを使う意味とは何か? 

tetsuyaimagawa.hatenablog.com

 

2の価格の乱高下について。ここまで乱高下が激しいと、普通の人が多額のお金をビットコインで持っておくのは厳しい。支払いを受ける企業側はどうしているのか知らないが、受け取った瞬間に取引所で現金化しないと、よくわからない利益や損失を計上する羽目になる。そのためのシステム整備なども必要になりそう。

 そもそも一体、何によって価格が決定しているのか?株は、理論的には将来のフリーキャッシュフローの現在価値合計で決まる。為替にも、実体経済の裏付けが一応ある。ところが、ビットコインについてはさっぱりわからない。恐らく、冒頭でご紹介した「数学や統計に詳しい人によれば〇〇〇万円まで上がるそうなんですよ!」という程度の煽りで売ったり買ったりしている人と、その人たちの動きを予測しながら売ったり買ったりしている人たちの、化かし合いだけで決まっている状況のように思える。もちろん「日本が仮想通貨の関連法を制定」とか「中国当局が仮想通貨を規制」とか、そういうニュースが値動きのドライバーになるのだが、これは過去のトレンドを是としたうえでプラス情報・マイナス情報を加味しているだけで、本質的な価値(ファンダメンタル価値)について算出する方法は現状まだない。「ファンダメンタル分析を紹介します!」といっているブログなども散見されるが、これらも「価格への影響要素」を列挙しているだけで、こういうのはファンダメンタルとは言わない。

 「発行上限が決まっているから希少性があるんです」というビットコイナーもいる。日本円だろうが米ドルだろうが、希少性はある。すると「いや、『中央集権』では通貨の発行が自由に行われるじゃないですか!」という反論が聞こえてきそうだ。しかし本当に自由に通貨が発行されて、本当に希少性がなかったらとてつもないインフレが起こる。つまり理論上はたしかにビットコイナーの言うのももっともだが、実際の通貨においても確かに希少性は存在している。

 「市場参加者が増えれば価格が安定する」というのも、確かに実現すればそうなのだが、楽観的ではないか。現実の金融市場では、数多くの機関投資家が価格を調整する機能を果たしている。実体経済の裏づけがなく、投機でしか動かない市場に機関投資家が入ってくることができるのか、自分は疑問に思う。但し、どこかのタイミングでどこかの通貨に連動することにするなどの変更が起こればこの点は解消される。しかし、その場合にはビットコインが持つ強みのいくつかは失われ、「Pontaポイントと何が違うんだっけ」ということになると思われる。

現時点での自分なりの結論

ビットコインの本質的価値はどのように算出され得るのか、どなたかヒントでもあれば教えて頂きたいが、仮にその問題が解決し、仮に市場参加者が増えて、価格変動が為替レベルの水準に収まったとしても、手数料という唯一の優位性に疑問符が残るビットコインがどのように長期的な決済手段となり得るのか、自分としては疑問のまま残った。

 それでも、例えば海外送金がもし自在に可能になれば、現状高い手数料を取っている銀行に対する脅威となり、銀行におけるより効率的な仕組み構築とコスト削減、そして手数料の低下を迫る力になり得ることは確かに社会の変革・イノベーションといえると思う。既に取り組みが始まっているように、銀行による仮想通貨発行といった動きも進むだろう。但し、「中央集権」を避けるがあまりに無数のコンピュータにより同一取引のデータを冗長的に保存していく仕組みは、長期的に手数料面で勝つことは難しいのではないか。

 今回、自分の中ではビットコインに関する論点が明確になった。結局以下の二つと思われ、現時点での自分の理解は「難しいのではないか」だ。

  1. 手数料を下げることはできるのか
  2. 価格の乱高下を抑えることはできるのか

加盟店を増やすとか、参画企業を増やすとかいったことは表層的な取り組みにすぎない。上記二つの問題に本質的な解決の道筋が与えられなければ、決済手段としての普及は難しいと思った(なお途中でも述べたが、ブロックサイズ問題など、仕組みそもそもの成立に関わる問題が解決されることは大前提)。

 なお、繰り返すがビットコインの価格がこれ以上上がらないなどということは言っていない。あくまで決済手段としての可能性について検討したまでであって、価格が上がる上がらないの話はしていない。

 ビットコイナーの方々から反論を頂ければ、本記事はすぐにでも全文を修正したい。改めて申し上げるが、自分は真実を考察したいだけである。

TOEFL100点を超え米イディオムを勉強すべきかの話

要約:色んな英語力の人達に難度高めのAmerican idiomのサンプルを見てもらい、どのぐらい知っているかを調べてみた

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モゴモゴバスターという英語リスニングの教材があって、アフィリエイトでもあれば全力で売り込みたいぐらい素晴らしい教材なんだけど、その作者の方から新作のイディオム教材の案内が来たので購入を真剣に検討した。

TOEFL100点以上程度のレベルであれば、相手が非英語ネイティヴである限りはどんなに英語ができる人と会話していても知らない単語に出くわすことはあまりない(The Economist等の文章内で知らない単語がないとは言っていない。むしろこの程度のレベルでは知らない単語ばかりだろう)。

ところがコーポレートファイナンスでグループを組んでいる米人Pの英語聞き取りには、めちゃめちゃ苦労している。体感理解度50%ぐらい。米人でも教授はゆっくり明瞭に話してくれるのでほぼ完全に理解できるのだが、北京から一緒のこのPは常に全く容赦がない。お前な、多国籍チームではネイティヴ側もちょっとは気を使うべきなんじゃねーのかとも思うのだが、日本人を除く他の非ネイティヴは普通に理解できているようなのでやはり自分がなんとかするしかないのが現実。

そこでここしばらく、なぜPの英語が(特に)聞き取れないのかを冷静に考えていたのだが、スピードは実はそこまで速くないので、米特有の発音変化が一つでこれはモゴモゴバスターで対策可能として、もう一つはイディオムじゃないか・・・?と思うに至っていた。イディオムはその名の通り慣用表現であり、構成している単語自体は平易なものが多いので、発音変化もえぐく、聞き取りに明らかに支障をきたす。

ちょうどそこにイディオム教材の案内が来たのでこれは即買いかなと思ったのだが、如何せん留学中で財源に乏しい身の上であるので、果たして本当に今の自分に必要かを探るために少し調査をしてみることにした。すなわち、英語力の異なる英語スピーカー数人に、教材に紹介されているサンプルイディオムを見てもらい、どの程度知っているかを答えてもらった。ちなみに僕は一個もわからない。


Question: Guys, could you tell me if you guys think these English words are basic ones which I should know?

put in a feeler
pull strings
wiggle room
sit on the fence
tall order
have a leg up on
jump on the bandwagon
make a killing
big cheese
step on someone's toes

【米ネイティヴ】
米人P: 全てアメリカではcommonなイディオムで、よく使われる

【非米ネイティヴ】

インド人R:全てはわからないが結構知ってる、もしくは推測できる

フィリピン人K:全てはわからないが結構知ってる、もしくは推測できる

【Fluent】
フランス人A: アメリカではcommonだと思う。いくつかは知っている

【Fluent手前】

中国人A: 一個も分からない

 

(追加)

  • インド人Rの見解。アメリカの映画など見るなら必要。映画を見ることで勉強も可能。自分はアメリカの映画を見て米イディオムを知ってきたし、今でも少しずつ増えていっている
  • 英日ハーフのTの見解。「put in a feeler」と「big cheese」の二つはわからなかった。英語圏で仕事するならこういうフレーズはよく出ると思うが、アジアで英語で仕事する分には知らなくても大丈夫だと思う


上記の結果を見て、どのように考えるべきか。自分なりの結論は以下。

 

  1. 英語圏でネイティブ≧ぐらいのレベルで仕事するためには習得が望ましいが、なくても恐らく可(実際、フランスAは米Pとのコミュニケーションにも支障なし)
  2. 但し英語で映画を見ることにも支障がないであろうと思われるフランス人Aも多くは知らないところを見るに、映画鑑賞や非ネイティヴとの英語の仕事には基本的に支障がなさそう
  3. また、真の英語力を持つ人なら、仮に知らないイディオムがあっても推測が可能(なのでインド人Rなどは、映画を見ながらどんどん語彙を増やしていくことが出来る。日本人が日本語の語彙を増やしていくのと同じ方法)

 

改めて自分の英語レベルを顧みるに、そもそもの英語力の低さから、リスニング時には脳のワーキングメモリを基本的に使い果たしている。なので、講義を聞いている際に横から話しかけられたりしても対応することができず、一瞬でも気をそらすと全ての理解が崩壊してしばらく元に戻れない。もしくは、一つでも知らない単語が出てくると、その理解・推測に気を取られて後半の文章のリスニングに頭を回せず、この場合にも理解が崩壊する。この脳のワーキングメモリの話は少し前に流行った以下の本に詳しい。

 

世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法

世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法

 

 

チャラめのタイトルに反して中身は非常に骨太なので、興味のある方は読んでみると良いと思うが、要は自分の場合には英語の受信・発信が無意識レベルまで染みついていないので、処理にいちいちメモリを消費してしまうということ。この説明は自分の感覚ともかなり一致している。なので、結局もっと基礎となるレベルの反復練習が足りていないことが一番の問題と判断し、この教材の購入は見送ることとした。

 

実際、インド人Rやフィリピン人Kとまではいかなくても、フランス人Aぐらいのレベルまでいくと、米人Pと話していて知らない・聞き取れない言葉が出てきても、聞き返すことも可能なのだろう。よく、まともに高いレベルで英語を使ったこともないくせに英語スピーカー気取りの短中期留学帰りのポン人やネイティヴスピーカーなど、日本人が本気で英語を勉強する苦労を知らない人たちは、「わからないことがあったら聞くべきだ!日本人はシャイだからなかなか聞かないのはよくないよ!」などと気楽に言い、社交辞令もわきまえているこちらは「そうだね、ありがとう(ニッコリ」と答えざるを得ないわけだが、本当にわからない言葉を逐一聞き返していたら、あまりの話の進まなさに彼/彼女らだって僕と距離を置くようになるに決まっているのである。

 

自分の限界は知りながらも、その限界までは挑戦してみようと心に決めた英語学習者の心の闇はかくも深い。しかして今日も、六本木のサパークラブで外人のおっさんやインター崩れのヤンキーと、「It gonna like~じゃなーい?」みたいな中途半端な発音の良さを織り交ぜた日英混じりのカスみたいな言語を操りキャッキャしている女の姿を脳裏に浮かべながら、俺はお前らとは違うからなと心に誓いつつiPhoneのレコーダーが擦り切れるほどリスニング教材を再生するのであった。