香港MBA留学記

香港科技大学MBA留学で経験したこと、考えたこと

TOEFL100点を超え米イディオムを勉強すべきかの話

要約:色んな英語力の人達に難度高めのAmerican idiomのサンプルを見てもらい、どのぐらい知っているかを調べてみた

 
モゴモゴバスターという英語リスニングの教材があって、アフィリエイトでもあれば全力で売り込みたいぐらい素晴らしい教材なんだけど、その作者の方から新作のイディオム教材の案内が来たので購入を真剣に検討した。

TOEFL100点以上程度のレベルであれば、相手が非英語ネイティヴである限りはどんなに英語ができる人と会話していても知らない単語に出くわすことはあまりない(The Economist等の文章内で知らない単語がないとは言っていない。むしろこの程度のレベルでは知らない単語ばかりだろう)。

ところがコーポレートファイナンスでグループを組んでいる米人Pの英語聞き取りには、めちゃめちゃ苦労している。体感理解度50%ぐらい。米人でも教授はゆっくり明瞭に話してくれるのでほぼ完全に理解できるのだが、北京から一緒のこのPは常に全く容赦がない。お前な、多国籍チームではネイティヴ側もちょっとは気を使うべきなんじゃねーのかとも思うのだが、日本人を除く他の非ネイティヴは普通に理解できているようなのでやはり自分がなんとかするしかないのが現実。

そこでここしばらく、なぜPの英語が(特に)聞き取れないのかを冷静に考えていたのだが、スピードは実はそこまで速くないので、米特有の発音変化が一つでこれはモゴモゴバスターで対策可能として、もう一つはイディオムじゃないか・・・?と思うに至っていた。イディオムはその名の通り慣用表現であり、構成している単語自体は平易なものが多いので、発音変化もえぐく、聞き取りに明らかに支障をきたす。

ちょうどそこにイディオム教材の案内が来たのでこれは即買いかなと思ったのだが、如何せん留学中で財源に乏しい身の上であるので、果たして本当に今の自分に必要かを探るために少し調査をしてみることにした。すなわち、英語力の異なる英語スピーカー数人に、教材に紹介されているサンプルイディオムを見てもらい、どの程度知っているかを答えてもらった。ちなみに僕は一個もわからない。


Question: Guys, could you tell me if you guys think these English words are basic ones which I should know?

put in a feeler
pull strings
wiggle room
sit on the fence
tall order
have a leg up on
jump on the bandwagon
make a killing
big cheese
step on someone's toes

【米ネイティヴ】
米人P: 全てアメリカではcommonなイディオムで、よく使われる

【非米ネイティヴ】

インド人R:全てはわからないが結構知ってる、もしくは推測できる

フィリピン人K:全てはわからないが結構知ってる、もしくは推測できる

【Fluent】
フランス人A: アメリカではcommonだと思う。いくつかは知っている

【Fluent手前】

中国人A: 一個も分からない

 

(追加)

  • インド人Rの見解。アメリカの映画など見るなら必要。映画を見ることで勉強も可能。自分はアメリカの映画を見て米イディオムを知ってきたし、今でも少しずつ増えていっている
  • 英日ハーフのTの見解。「put in a feeler」と「big cheese」の二つはわからなかった。英語圏で仕事するならこういうフレーズはよく出ると思うが、アジアで英語で仕事する分には知らなくても大丈夫だと思う


上記の結果を見て、どのように考えるべきか。自分なりの結論は以下。

 

  1. 英語圏でネイティブ≧ぐらいのレベルで仕事するためには習得が望ましいが、なくても恐らく可(実際、フランスAは米Pとのコミュニケーションにも支障なし)
  2. 但し英語で映画を見ることにも支障がないであろうと思われるフランス人Aも多くは知らないところを見るに、映画鑑賞や非ネイティヴとの英語の仕事には基本的に支障がなさそう
  3. また、真の英語力を持つ人なら、仮に知らないイディオムがあっても推測が可能(なのでインド人Rなどは、映画を見ながらどんどん語彙を増やしていくことが出来る。日本人が日本語の語彙を増やしていくのと同じ方法)

 

改めて自分の英語レベルを顧みるに、そもそもの英語力の低さから、リスニング時には脳のワーキングメモリを基本的に使い果たしている。なので、講義を聞いている際に横から話しかけられたりしても対応することができず、一瞬でも気をそらすと全ての理解が崩壊してしばらく元に戻れない。もしくは、一つでも知らない単語が出てくると、その理解・推測に気を取られて後半の文章のリスニングに頭を回せず、この場合にも理解が崩壊する。この脳のワーキングメモリの話は少し前に流行った以下の本に詳しい。

 

世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法

世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法

 

 

チャラめのタイトルに反して中身は非常に骨太なので、興味のある方は読んでみると良いと思うが、要は自分の場合には英語の受信・発信が無意識レベルまで染みついていないので、処理にいちいちメモリを消費してしまうということ。この説明は自分の感覚ともかなり一致している。なので、結局もっと基礎となるレベルの反復練習が足りていないことが一番の問題と判断し、この教材の購入は見送ることとした。

 

実際、インド人Rやフィリピン人Kとまではいかなくても、フランス人Aぐらいのレベルまでいくと、米人Pと話していて知らない・聞き取れない言葉が出てきても、聞き返すことも可能なのだろう。よく、まともに高いレベルで英語を使ったこともないくせに英語スピーカー気取りの短中期留学帰りのポン人やネイティヴスピーカーなど、日本人が本気で英語を勉強する苦労を知らない人たちは、「わからないことがあったら聞くべきだ!日本人はシャイだからなかなか聞かないのはよくないよ!」などと気楽に言い、社交辞令もわきまえているこちらは「そうだね、ありがとう(ニッコリ」と答えざるを得ないわけだが、本当にわからない言葉を逐一聞き返していたら、あまりの話の進まなさに彼/彼女らだって僕と距離を置くようになるに決まっているのである。

 

自分の限界は知りながらも、その限界までは挑戦してみようと心に決めた英語学習者の心の闇はかくも深い。しかして今日も、六本木のサパークラブで外人のおっさんやインター崩れのヤンキーと、「It gonna like~じゃなーい?」みたいな中途半端な発音の良さを織り交ぜた日英混じりのカスみたいな言語を操りキャッキャしている女の姿を脳裏に浮かべながら、俺はお前らとは違うからなと心に誓いつつiPhoneのレコーダーが擦り切れるほどリスニング教材を再生するのであった。